さあ、金正日にも逮捕状を!

 募金は440万円を突破した。きのう、定額給付金の財源特例法が衆議院で再可決されたことが影響したのか、募金のペースが上がっている。もし募金が目標額を超過したら、ニューヨークタイムズへの意見広告以外に何ができるか考えなくては。
 友人で環境ジャーナリストの佐藤由美さんからメールが届いた。小浜市のお友達に意見広告の運動を知らせたら、一気に盛り上がって、NGOだけでなく、市役所の中までも支援の輪が広がっているという。
 小浜市といえば、拉致被害者、地村さん夫妻の地元にして、オバマ大統領への関心が日本で最も高い土地である。もっと早くに気づいて働きかければよかった。小浜とその周辺のみなさん、今からでもご協力をおねがいします。
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 今朝の朝日新聞の第一面に、ついにスーダンの現職の大統領に国際刑事裁判所が逮捕状を発行したニュースが載っていた。こんなことが可能な時代になったのだなあ!
国際刑事裁判所金正日を裁くべし」と考えている私にとっては嬉しいニュースである。
さあ、いよいよ金正日にも逮捕状を!!
 この論拠と私の主張については、一昨年暮れの日記を読んでください。そのとき、私は当時国際刑事裁判所の裁判官に選出されたばかりの齋賀富美子氏(つい先日、再選された)とシンポジウムで同席し、金正日国際法廷へ引きずり出せと主張したのだった。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20071214
以下、朝日の記事。
《「世界最悪の人道危機」と言われるスーダン西部ダルフール地方の紛争で、国際刑事裁判所(ICC、本部ハーグ)の予審裁判部は4日、スーダンのバシル大統領(65)の逮捕状を発行したと発表した。
 現職の国家元首に対するICCの逮捕状は初めて。ICCの捜査部門である検察局が昨年7月にバシル氏の逮捕状を請求。これを検討した予審裁判部は十分な根拠を認め、逮捕状発行を決めた。これでICC全加盟国(108カ国)に逮捕などへの協力義務が生じるが、バシル氏がスーダン内にとどまれば拘束の可能性は低い。
 ICCによると、容疑は、03年以降の殺人、強姦(ごうかん)など人道に対する罪と戦争犯罪で、軍や民兵組織にダルフールのアフリカ系(黒人)住民などの襲撃を命じた疑いがもたれている。
 スーダンはICC非加盟だが、責任追及を求める国際世論の高まりを受け、国連安全保障理事会が05年、ダルフール問題をICCに付託する決議を採択した。
 逮捕状発行でスーダン政府が態度を硬化させるのは確実で、南北内戦の和平合意を監視する国連スーダン派遣団(UNMIS)やダルフール地方での平和維持部隊など国連活動への影響が懸念される。UNMISには日本から自衛官2人が、本部のあるハルツームに派遣されている。
 AFP通信によると、スーダンの司法相は4日、同国政府としてICCに協力する考えはない、と言明した。一方、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は同日、「国連はスーダンでの平和維持、人道、人権、開発活動を継続する。スーダン政府の全面的な協力と、市民や国連要員らの安全の保証を求める」との声明を発表した。
 ダルフール紛争は、アラブ系政府に反発する黒人系の反政府組織が03年に蜂起。これに対し、アラブ系民兵らが黒人住民を組織的に襲撃し、国連などによると、約30万人が死亡、約250万人が国内避難民になったとされる。》

北朝鮮がICC非加盟国である点はスーダンと同じ。手続きとしては、今回のケースと同様、国連安全保障理事会がICCに付託する決議がいいだろう。この手続きについても私は齋賀富美子さんと議論している。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20071217
今回の現職大統領への逮捕状発行は、これからかなりの波紋を呼ぶだろう。アフリカ連合は「和平プロセスを妨げるとして反対」。スーダン当局はもちろん激しく反発し、国内にいる国連職員などに圧力を加えたりもするかもしれない。資源戦略でスーダンと友好関係にある中国はさっそく抗議した。いわゆる現実的対処を唱える人々からも非難轟々だろう。
しかし、「和平に悪影響を及ぼす」というとき、その「和平」とはスーダン当局の犯罪には眼をつむって妥協することを意味する。毎日新聞によれば、国際刑事裁判所の報道官は非難に対してこういったという。
「正義なしには永続的な平和はない」
このつっぱりは小気味いい。もっともめて国際的な関心が集り、議論されるようになればいい。その中から、金正日訴追の現実的な道筋が見えてくることを期待する。