金正日体制崩壊を唱える「T・K生」2

池明観氏は、03年3月末に北朝鮮を訪問した。彼の対北朝鮮観を180度転換させたのは、この訪問だった。
以下は日本で開かれたある講演会での発言だ。
《KBSの理事長をしておりましたので、その関係で南北問題と統一問題についての話し合いのために北を訪問し、偶然にもある体験をしました。それは香山(妙香山)に行くときの事です。一流のハイウェイを使ってそこまでいくのですが、偉い人が通るためであったか、ハイウェイで足止めをくい、1時間ぐらい交渉して、別の道を通っていくことが許可されました。私はもともと北の出身ですので、故郷に行ってみたかったのですがかないませんでした。一緒の会議に出席している北の人とは話してもいいのですが、そのほかの人とはしゃべることもできないような制限された訪問でした。本来なら通るはずのない道を偶然にも通ったことにより、わたしは、見ることがなかったはずの情景を見ました。私の通った町は、悲惨な飢餓に満ち満ちていました。(略)
北の状況をひとことでいえば、1945年以前日本の統治下にいた時よりももっとひどい状況にあります。私は北に行って来て、北に対して何をどうすればいいのかわからなくなってしまった。(略)
韓国の人たちは、南北問題を解決するために、様々な問題は大本の南北問題解決の支障になるから黙っているというようになってしまっている。沈黙を強要されている状況があります。なぜならば、対話がしたい。北に行っても自由ではないけれどもさしあたり、交流を継続したい。そうしながら歴史の変化を待つ以外方法がないではないかと考えているからです。
北はどうなるのかということについて私はわかりません。北の金正日政権を民衆の犠牲がなければ、直ちに無くしてしまいたい。これはわたしが北に行って確認したことです。帰国してから、私はわからなくなって、北の問題に対して何も語っておりません。ただ、この問題に対しての韓国政府のあり方について私は不満を持っています。こういう現実を認識しながらそれをどうするかということを持たず、ただ漫然と対話を継続していけばよいという浅はかな態度に関して私は不満です。あらゆる方策を模索していかなければならないと思っています。漠然と南北が対話してうまくいくことではないと考えています。》
http://ncc-j.org/oikumene/no35/chi-myongan.html
北朝鮮の現体制は打倒しなくてはならず、韓国は太陽政策を採るべきではないと主張している。
04年の韓国の雑誌「月刊中央」6月号のインタビューでも、はっきりと北朝鮮体制の打倒を主張している。
《私が南側で考えていたより北韓の実情はもっと悪かった。妙香山以外は山にほとんど木がなかった。全国土が荒廃していた。飢えた子供たちを見てとても惨めだった。ほとんど絶望的状況だった。》
北韓は一日も早くなくすべき体制だ。北韓が現体制から漸進的に改善して良くなると期待することは考えられない。》
イデオロギーで曇らない目で素直に見れば、誰でも金正日体制打倒という結論に辿りつくということを示している。「軟着陸」などと言っている場合ではない。また、「後継者」などどうでもよい。あの体制は崩壊させるしかないのだ。
(以上は民団新聞7月9日号を参考にしました)
なお、あるサイトで、03年当時から、池氏の発言をとりあげていた。http://www.asiavoice.net/nkorea/bbs/wforum.cgi?mode=allread&pastlog=0001&no=237&page=60&act=past#261
ここでは、経済制裁をふくめ、北朝鮮という国家に対してどういう立場を取るべきかについて真摯に議論が行なわれている。汚い罵倒や嘲笑が支配する朝鮮半島関連サイトが多いなか、感心させられるし、私自身勉強になる。