プーチン王朝誕生の闇2

takase222008-07-26

きょうのニュースより。
《ロシアのプーチン首相が、同国の金属大手「メチェル」社のジュージン社長を脱税の疑いなどで名指しで批判した。(略)
インタファクス通信などによると、プーチン氏は24日に開かれた冶金(やきん)企業幹部との会合で、メチェル社が外国に国内の半値で原料を売りさばいていると非難、「国家に納める税はどこへ行ったのか」と脱税も示唆した。入院して会合を欠席したジュージン氏について「早く回復しなければ医者を派遣し、問題を『片づける』」とも述べた。「片づける」は、「殺して片づける」「始末する」という隠語の脅し口調。連邦反独占庁や検察の調査の対象となる可能性にも言及した。
 発言後、ニューヨーク証券取引所に上場する同社の株価は約3分の2に。ロシアのメディアは「ユコス事件の始まりの時のようだ」などと論評した。》(asahi.com

ユコス事件」とは、03年に元石油大手「ユコス」社長ホドルコフスキー氏を脱税などの容疑で逮捕し、会社をそっくり政権が乗っ取った事件だ。プーチン政権は、資本家を脅し挙げて、石油やガスなどのエネルギー産業だけでなく、テレビ、新聞などメディアまで手中に収めたのだ。まだ同じことやっているのか。
日本語で言えば「ヤキを入れる」みたいな乱暴な隠語を使って、マッチョぶりをアピールするのはプーチンの手だ。
チェチェン爆撃に踏み切った99年9月23日、彼は「テロリストを便所まで追い詰めて『やっつける』」とやはり隠語を使って、机をバンと叩き攻撃性をむき出しにした。(今回の「片付ける」と同じ言葉だったかもしれない)
写真は裸で銃を持ち、マッチョぶりを誇示するプーチン
当時、一般人のアパートをターゲットにした連続爆破テロで、恐怖感がひろがっていた。世論調査では、88%が自分がテロの犠牲者になることを恐れていると回答、64%がすべてのチェチェン人を国外退去させるべきとの考えに賛同していたという。人心は、決断力ある強い指導者に一気に傾いていった。
今、エネルギーバブルの絶頂を謳歌するロシア人の多くは、繁栄する大国を築いたプーチンを賛美し支持し続けている。
こうして、連続爆破テロからチェチェン戦争が開始されたこの時期が、ロシアの最大の転機となった。この意味で、ロシア版「9.11」と言ってもよいかもしれない。
(つづく)