ヒマラヤに逝った女性ドキュメンタリスト

きのう29日、また友人の訃報が入った。ドキュメンタリーディレクターの古賀美岐さんが亡くなったという。28日、ネパールのナムチェバザールの上の標高3800メートルの村で高山病になり、救援ヘリが悪天候で間に合わずに亡くなったと聞く。遺体が日本に戻るのは2日だという。
早稲田大学の探検部出身。同期に辺境作家の高野秀行http://aisa.ne.jp/mbembe/がいる。海外を本格的に取材しようと、30歳を過ぎてから留学もしたがんばりやだった。
ネパールの少女がインドの売春街に売られていく現状を、少女たちを救援するNGOとともに追っていくNHK BS特集「ネパール母の家」で受賞するなど、優秀なドキュメンタリーを連作していた。去年はNHK−BSで「アジア大回廊〜中国からパキスタンへ 2万キロを行く〜第2回インドシナを走る」や「チャイナ・パワーに心ゆれて〜ミャンマー寺子屋」などのドキュメンタリーを作っている。これらはいずれも私が独立前にお世話になった日本電波ニュース社の制作だ。
また、映画もてがけ、森康行監督のもとで、東京都墨田区の夜間中学を描いた「こんばんは」http://konbanwa.web.infoseek.co.jp/text/p1intro.htmlの制作にあたった。この映画は、
3年がかりで制作され、キネマ旬報2003年度文化映画第一位となった秀作だ。
美岐さんはいま42歳、まさに油の乗った実力派として期待されていた。
私は彼女と仕事をしたことは少ないがよく一緒に遊んだ。私がバンコクに駐在していたときには彼女が仕事で通過するたびに飲みに行った。いつもニコニコと微笑んでいるが、意見を誰にも物怖じせずに言う「個」をしっかり持った人だった。正義感が強く、弱い立場の人々に優しかった。
「善人は早死にする」などという言葉がふっと浮かんでくる。