きのう3日夜、明治大学で日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)主催の「ミャンマー(ビルマ)情勢緊急集会」があった。フォトジャーナリストの山本宗補さんが話をするのでぜひ行きたかったが、2日から南北首脳会談が始まっており、残念ながら時間が取れず行けなかった。
今朝の新聞は、日本政府がミャンマーへの人道支援の見直しを開始したこと、きょう長井さんの遺体が日本に着くことを伝えている。
ところで、長井さんが首都の騒乱のなかで殺されたこともあって、ミャンマー軍の都市部での暴虐が印象づけられているが、実は地方ではもっと露骨に恒常的な弾圧が続いている。
地方での人権侵害を証拠立てる衛星写真がある。上の2004年撮影の写真と下の今年のものがビフォーアフターになっており、右下の小さな集落が消滅しているのが分かる。
9月28日、世界最大の科学者組織、全米科学振興協会(AAAS)は「衛星写真が、ビルマの人権侵害の目撃証言を裏付けた(Satellite Images Corroborate Eyewitness Accounts of Human Rights Abuses in Burma)」と発表した。http://www.aaas.org/news/releases/2007/0928burma_report.shtml
ミャンマーでは主に少数民族地区で、国軍による村落の破壊や強制的な移住、軍駐屯地の増設などが行われてきた。
私も少数民族ゲリラを取材していたとき、続々ゲリラ支配地に逃げてくる多くの避難民に会ったことがある。軍が村を焼き払ったりするのは、ゲリラへの補給を断つという目的もあるが、単なるいやがらせとしか思えない場合も多かった。森林伐採などの利権がらみで、人々をその土地から追い出すこともあるようだ。
AAASの発表によると、まず、人権団体と協力して、2006年中ごろから2007年はじめにかけて、ミャンマー東部カレン族居住地域で起きた事件に関する70の具体的証言を得た。うち31ヶ所を特定したうえ、以前に撮られた衛星写真と最近のそれとを比較したところ、25ヶ所で証言を裏付ける具体的な痕跡を発見したという。ウェブサイトにすべての地点の写真と分析が公開されている。
この作業を担当したのは、協会の「地球空間テクノロジーと人権プロジェクト」という部門で、すでに衛星写真を使って、グアテマラ、コソボ、ダルフールやジンバブエでの人権被害を検証する作業をしてきた実績がある。
協会の幹部は、「こうした映像分析は、いかにして科学・技術が人権侵害の暴露に適用できるかを示す優れた実例である」と語っている。
「科学と人権」という大きなテーマを考えさせられる。