「自己実現的人間」の17の特徴(3)

 私のウクライナ取材報告が、『朝日小学生新聞』(1月9日)と『朝日中高生新聞』(1月7日)に載った。

朝日小学生新聞(9日)特集紙面

朝日中高生新聞1月7日特集面

 若い世代にウクライナの事態が他人事ではないことを知らせたいので、こういう媒体に書くことができてうれしい。

 去年の11月からいろんな媒体に記事を書いていて、きょうまでに12本掲載された。講演は2回。世界の情勢はウクライナに厳しいが、抵抗の実態を知らせ、微力でも支援の促進につなげたい。

 また、ウクライナ取材が地上波のテレビに売れず、巨額の取材経費が家計にのしかかっている。記事執筆や講演で収入を得て少しでも赤字を減らさなければ。

 講演会には中村哲という希望』(旬報社を持って行って「行商」している。中村さんの名前のおかげか、とても売れ行きがいい。こちらもよろしくお願いします!
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 13日の報道特集で、能登半島地震の被災者の避難所になっている七尾の小学校の映像が流れたが、地震から10日以上経つのにまだ断水で、敷布団もない床に寝ている。みなさん心身ともに「疲れた」と言っていた。家に帰れずに避難所暮らしの人たちがたくさんいる。徐々にホテルや旅館などへ移す2次避難の措置を取っているそうだが、家が全半壊した高齢者たちや障害を持つ人々などは今後どうするのだろうか。しっかり支援してほしい。

敷布団もない。枕は・・(報道特集

段ボールにペットボトルを入れて枕にしているという

お疲れでしょう

間仕切りもない

いやだよね、よくわかるよ

 本ブログで何度か紹介したが、日本人は人助けしない点では世界で群を抜く「冷たい」国民だが、そのうえ政府が困窮者を支援することも快く思わない人が多い。

 これは世界47ヵ国を対象に米国のPew Research Centerが2007年に行った調査結果だ。”State should take care of the very poor”(国家は極貧層の面倒をみるべき)に同意するかどうかを尋ねたもの。これに「同意する」つまり面倒を見るべきだと答えた人の割合が日本は59%で世界最下位。濃い青=完全に同意するはたった15%だ。(写真は筆者のパワポより)

 ここまで自分中心、「自己責任」、弱いもの切り捨てが染みついているとなると、当然選挙で投票もしなくなるし、生活保護を受ける人を見下し、(本土の人間は)沖縄がどうなっても「われ関知せず」となるだろう。

 人とコミュニティとの関係が不正常になり、ひいては「自分」も心を病むことにつながっていく。困った人がいたらためらいなく手を差し伸べる気風を育てたい。

takase.hatenablog.jp


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 アブラハム・マズローの、人柄のすぐれた人に共通する自己実現的人間」の特徴、つづき。

明るい心理学の創始者らしく笑顔のマズロー

13.「哲学的で悪意のないユーモアのセンス」である。
 人生のさまざまなことに、不必要なこだわりがなく、自信があり、しかも他者や自然への温かい愛情やみずみずしい感受性がある人には当然の、人生への余裕からくる笑いである。

14.「創造性」である。これは当然だろう。

15.「文化に組み込まれることに対する抵抗」である。
6(文化や環境からの自律性)とも重なる。

16.「確固とした価値体系」である。
 ふらふらといつも迷っているのでも、頑固に凝り固まった思い込みをしているのでもなく、柔軟さをもちながら、自分自身のしっかりした価値観をもっていることである。

17.以上の性格を総合すると出てくる、すぐれた性格特徴で、「対立性・二分性の解決、欲望と理性のすばらしい調和状態」にあり、「健康人にあっては、利己的であることと利己的でないということとの二分性はなくなる」という。自分の思いどおりに生きているとそれがひとのためになるのである。

 17の特徴を見ていくと、私がこれまでに出会った尊敬すべき人、優れた人にはかなりあてはまるように思う。これらすべてを満たすのは容易ではないが、自分の目標として参考にしていこうと思う。歳をとるごと、体力、知力は衰えていくが、人格は死ぬまで向上できるのだから。

 マズローは晩年、人間の成長は「自己実現」段階では止まらないとし、その上に「自己超越」段階を成長の極限として想定した。これと仏教などでの「覚り」の関係についてはまたあらためて書きたい。