統一協会と「赤報隊事件」の闇

 きょうはよく晴れたので、多摩湖自転車道をサイクリングして多摩湖まで行った。もうモクレンや桜はほぼ終わり、ツツジが咲いている。今年は何でも早いな。

多摩湖自転車道

 坂本龍一さんが亡くなった。つねに積極的に社会的メッセージを伝えようとしていた坂本さんは、ロシアのウクライナ侵攻の2カ月後には、20歳の音楽家イリア・ボンダレンコさん(20)とPeace for Iliaを共同制作している。

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 イリアさんは「僕たちの国では戦争が起きているが、坂本さんはそれが作曲を止める理由になってはいけないと示してくれた偉大な人です」と彼の死を悼んだ。

 坂本龍一さんの死去に関する番組を観て、言論の自由があやうくなっているこの時代に得難い人を亡くしたのだなあとつくづく思う。坂本さんはかつてラジオ番組でこう言っていた。

TBS報道特集8日より


「何でこんなに日本は言いたいことが言えない国になっちゃったのか。何が怖くて皆、言いたいことが言えないのか。皆もっと言いたいことを言いましょうよ。個人もミュージシャンもメディアも皆そうですよ。」
TBSラジオ2009年12月29日放送)

 ジャーナリストの浜田敬子さんはきょうの「サンデーモーニング」で、

「この30年間、戦争だけじゃなくて、気候変動、アーティスとの権利とか、経済格差の問題だとかさまざまなほんとに広い社会課題に対して発信を続けられたんですけれども、その行動力こそが若い世代とか私たちに勇気を与えてくれた気がします。

 著名人がそういう発言をするというのは、日本ではいわれのないバッシングを受けることもあるにもかかわらず、坂本さんが前面でやってくれているから、私たちも声を上げようと思わせてくれた方だったんだなと思います。」とコメントしたが、なるほどと思った。

 風の強い時代、先頭で風よけになる人のあとに多くの人がつづくというイメージか。そのくらい今が厳しいということか。次の風よけは誰だろう。ほんとうは自分が風を受けるのに耐えて歩き出さなくてはならないのだが。
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 前回紹介した有田芳生さんの統一協会に関するコメントのつづき。

 迷宮入りとなった「赤報隊」事件に統一協会が関わってた可能性について、有田さんはこう語っている。

《1987年5月3日に「赤報隊」事件が起きる。

 阪神支局で男押し入って銃撃し、小尻智博記者(29)が殺された。警察は犯人が右翼・新右翼の可能性ありと見た。5月6日に共同と時事に「反日朝日を許さない」との犯行声明が届けられたからだ。

 ところが同じ5月6日に朝日新聞東京本社に一通の脅迫状が届いていた。そこには統一協会の悪口を言うやつは皆殺しにすると書いてあった。消印は渋谷区で統一協会の本部があるところ。

 そして同封してあったのは散弾銃の使用済みの散弾容器2個だった。それらはレミントン社ピータース7.2弾という日本ライセンスのものだった。朝日阪神支局で使われた散弾銃の弾が、同じアメリカ製のレミントン社ピータース7.2弾。こちらはアメリカ製で脅迫状に入っていたのは日本ライセンス生産のものだったが、全く同じ銃弾だった。このときはまだマスコミも誰も銃弾の型など知らなかったので、捜査当局はびっくりした。

 さっそく統一協会勝共連合の信者たちがリストアップされた。「統一教会重点対象一覧表」という。その中にIAというイニシャルの男がいる(リストには実名が出ている)。IAは自衛隊出身者で右翼団体に入った経歴があり、統一教会非合法軍事組織のメンバーとされている。彼は1991年、奈良の小さなお寺で一酸化炭素中毒で亡くなっている。

 亡くなる直前に朝日新聞樋田毅記者が、新橋で演説しているIAに取材をかけるが、慌てて雑踏の中に逃げて行ってしまった。結局、警察はその人物から事情聴取することなく亡くなってしまった。

 もっとある。「赤報隊」事件のあった87年5月3日の同じ5月の30日、教祖の文鮮明は、韓国のリトルエンジェルス芸術学園で講演をしている。「信者たちは私の言うことを何でも聞く」と繰り返したあと、「この数か月間、数百億円がふっとばされた」と言った。

 70年代の終わりから80年代にかけて、莫大な被害が霊感商法で出ており、86年12月から87年にかけて、私(有田さん)たちは「朝日ジャーナル」で霊感商法被害キャンペーンをやった。被害弁連が87年2月にでき、当時は霊感商法がやりにくくなっていたときだった。この講演で文鮮明は、「2月以降、大変な批判があった。私は朝日新聞と読売新聞を攻撃せよと言った」といい、そのあと「みんなには分からないだろう。私には分かっているんだ。分かるだろ」と話を締めくくった。

 そして、結果的に、統一協会は摘発されずに「赤報隊」事件は時効を迎えた。》

 怖い話である。安倍氏の一族は、こういう団体を自民党に引き入れたのだから、罪深い。

(つづく)