統一教会と日本会議 なぜ「共闘」できるのか?

 東京新聞が3日、第1面に「『家庭教育支援法』法制化 旧統一教会系団体 地方で陳情 神奈川18年、一斉に意見書求める動き」との大見出し。

3日の東京新聞第1面

 統一教会系団体関係者が自民市議に法制化の意見書提出を働きかけ、18年に川崎市議会が可決していた。こうした動きが地方で一斉に出ており、衆参両院には17年から今年8月までに全国34議会から、同法制定を求める意見書が提出されているという。

 2面の見出しは「安倍氏肝いり 国会提案棚上げ『家庭教育支援法』 伝統的家族観 『公権力の介入』批判根強く」で、鈴木エイト氏が以下のコメント。

「教団は家長主義的な思想で、男女共同参画や性の多様性を否定してきた。法案には女性の社会進出の視点が欠け、古い家族像が前提となっており、教団が共鳴する内容といえる」

日本会議などとも連動して地方議会から中央に意見書を出させ、法整備を働きかける動きは他の政策でも見られる」。

 この法案は安倍氏らの2肝いりの政策で、根強い批判の中で、地方では同じ趣旨の条例を制定する動きが進んでいる。今年6月までに静岡県茨城県など10県6市が制定した。

 地方から中央へ攻め上る態勢を着々と作っているようにみえる。。

 

 4日の朝日新聞

4日の朝日新聞の第1面

 全国の国会議員と都道府県議、知事を対象に統一教会(通称)との関係を尋ねるアンケートを実施したところ、接点を認めたのは計447人。国会議員は150人、都道府県議は290人、知事は7人だったという。

 地方政界にも統一教会が浸透していることを示す。

朝日新聞の第2面

 地方から中央へ攻め上る手法は、極右団体、日本会議のそれに重なる。

 青木理日本会議の正体』平凡社新書)は日本会議の運動のノウハウをこう指摘している。

神社本庁や神社界、新興宗教団体といった動員力、資金力のバックアップを受けつつ、全国各地に“キャラバン隊”などと称するオルグ部隊を次々に送り込み、“草の根の運動”で大量の署名集めや地方組織づくり、または地方議会での決議や意見書の採択を推し進めて“世論”を醸成していく」(P212-213)

 その結果、次のような成果をあげたという。

 元号の法制化、建国記念日の祝日化、「愛国的」な歴史教科書の編纂、国旗国歌法の制定、皇室尊崇意識の滋養、「憲法改正の前哨戦」としての教育基本法改正など。
 あらためて近年の右傾化はすごいなと驚く。

 「地方から中央へ」という手法は統一教会日本会議から学んだというより、鈴木エイトさんが指摘するように、両者は「連動」する共闘関係なので同じになるのは当然なのだろう。

 しかし、韓国第一主義の統一教会と、日本会議という神社本庁をベースにした国家主義的団体がなぜ「共闘」できるのか。ここは多くの人の疑問とするところだろう。

 なにせ統一教会は、「日本はサタン側の国家」で「あらゆる民族はこの祖国語(韓国語)を使用せざるを得なくなる」など愛国主義的「右翼」にはとうてい受け入れがたい「反日」教義を説いているのだ。

 しかも、統一教会に反旗を翻した「世界日報」元編集長の副島嘉和氏と元幹部の井上博明氏が月刊「文芸春秋」84年7月号に執筆した旧統一教会内部告発によれば、統一教会には文鮮明氏と家族を前に主要国の元首たちがひざまずく儀式があり、天皇陛下の役を日本の旧統一教会会長が担っていたという。

 日本の「右翼」が知ったら卒倒しそうな内容だ。

 これでなぜ「共闘」が可能なのか?

 なお、この「文藝春秋」の記事が出版される直前、副島氏は何者かに刃物で襲われている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%AF%E5%B3%B6%E5%98%89%E5%92%8C
(つづく)