口だけでコロナ退治が出来りゃ楽 (奈良県 八郷博 朝日川柳14日)
新規コロナ感染者が急増し、「第3波」襲来といわれている。
この期に及んで、政府も都も、みなさんに気をひきしめて警戒してほしいと「お願い」するばかり。さらには、このかん(国民の)気が緩んでいると言った知事もいた。
のけぞったのは赤羽国交大臣の13日の会見。
来年1月末までとしている「GoToトラベル」の期間を2月以降、さらに延長すると言ったのだ。
「地方の経済の状況を見ますと、(GoToを)延長したいというふうに思っています」。
北海道からはGOTOトラベルは控えて!との声が上がるなかのこの発言。気が緩んでいるのはどっちだ?
冬にかけて感染の拡大が懸念されることについては、「国民はそうしたことを賢明に判断しながら利用していると思う」と語った。
責任を全部われわれ国民に放り投げるつもりだな。
『モーニングショー』でコメンテーターの吉永みち子氏が、国民任せにするのではなく、行政は具体的な方針を示してほしいと苦言を呈していたが、そのとおり。
政府は、感染急拡大に対して、かくかくの現状認識をしており、これこれの方針で望むので協力してほしいと明確に示すべきだ。
先日友人が、自分が接触した人がコロナ陽性と判明したので、他の人に移してはならないと、PCR検査を受けた。結果は陰性で胸をなでおろしたが、自費なので3万3千円かったという。4万円のところもあり、こんな高額ではおいそれと受けられない。
韓国ソウルでは6月から12月まで市民なら誰でもPCR検査を無料で受けられる。日本でも上の友人のケースやエッセンシャルワーカーなどの検査くらいは無料にできないものか。以前からの懸案だが、一向に改善されていない。
感染が増えて困りましたねえ・・とまるで自然現象を見るような政府、地方自治体の無責任な態度には憤りをおぼえる。
それに、冬に大流行する可能性に備えて体制を準備すべきだと早くから指摘されてきたのに、なにもやっていなかったようで、すぐに医療体制がひっぱくしそうで心配だ。
無策と言われても仕方がないだろう。
すぐに具体的な対応策と今後の方針を明らかにしてほしい。
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東京ビエンナーレ「玉川上水46億年を歩く」の2回目のプレウォークが進行中だ。これは玉川上水の46kmを地球史46憶念に重ね合わせて歩き、人類の「位置」を考えようというものだ。
(プレウォークの1回目は今年はじめに行われた)
きょうは第3区(鷹の台駅から三鷹駅まで)9.6kmを歩いた。
毎回、昼食後に、地球史の解説をさせていただいている。記録として、ここに載せておこう。
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まずは10月18日、第1区(羽村取水口~武蔵砂川駅、9.6km)の解説。ここは46億年前から36億年前くらいに当たる。
およそ46億年前、太陽系第3惑星として地球が生れた。
太陽系の8つの惑星のなかで地球はどんな星か。
「水の惑星」とよく言われるが、実は地球は宇宙のなかでも水が少ない場所だ。
地球の表面の7割を海が占めるから多いように見える。しかし、海の平均水深は3700m(3.7km)ほど。地球の半径は6400kmあるから海は半径の1000分の1もない。リンゴの皮よりずっと薄い。水は地球の質量のわずか0.02%しかない。
ただし、地球の水には決定的に重要な特徴がある。それは水が「液体で存在する」ということだ。生命は海で生まれ進化した。水が液体であったからこそ生命の誕生が可能になったのだ。ただ、水が液体のままでいられるのはごく限られた条件の下でである。
水は0℃から100℃の間で液体でいられる。しかしこれは1気圧のもとでという条件だ。気圧の低い富士山の頂上でお湯を沸かせば87℃で沸騰する。気圧がさらに低くなれば沸点はもっと下がる。宇宙空間は事実上圧力ゼロだから水は液体でいられない。0℃より少しでも下なら氷(固体)、少しでも高ければ水蒸気(気体)になる。液体の水を持つことは容易ではない。絶妙な気圧、温度が保たれたからこそ、地球が「液体の水の惑星」となることができた。
実は地球は「鉄の惑星」だ。鉄は、地球の質量の3分の1を占める。そのことが生命に大きな幸運をもたらした。
鉄は地球の奥深くに大量に存在する。外核では、高温でどろどろの状態の鉄がぐるぐる回っている。鉄の回転で電気がおき、地球は大きな磁石になった。磁場が形成され、地球をすっぽり覆った。それが、生命には非常に危険な二つのもの、宇宙線と太陽風をブロックして地球を生命フレンドリーな環境にしてくれている。
それだけではない。鉄は生物の内部でも命を支えてくれている。血液はどうして赤いのか。ヘモグロビンの鉄と酸素が結合した赤サビの色だ。鉄は酸素を体の隅々の細胞まで届ける役割を果たしている。光合成、窒素固定にも鉄が必要で、鉄は動物、植物の基本的な生命維持システムにとって必須の元素である。
私たちの体を構成する元素のうち、水素、炭素、窒素、酸素で体重の96%を成しているが、それらはどうやってできたのだろうか。父や母がいるように、地球にも誕生の前史がある。地球がどのように生まれてきたのかを見てみよう。
そもそも地球を構成するさまざまな物質はどうやってできたのか。
宇宙は138億年前、極微の一点からインフレーション、ビッグバンを経て急膨張してきた。はじめ宇宙は超高温のエネルギーであり、物質というものはなかった。宇宙が拡大し冷えるにしたがってまずは素粒子ができた。ビッグバンから38万年後、陽子が電子をつかまえて水素原子(一部ヘリウム原子)ができ、大量の水素原子が重力で互いに引き寄せ合い集まって星となって輝きだした。
星の中では膨大な熱と圧で核融合が行われ、水素からヘリウム、リチウム、ベリリウム(水兵リーベ僕の船・・)さらに原子番号6の炭素、7の窒素、8の酸素ができ、原子番号26の鉄までの元素が作られた。そこでいったん元素の製造は止まる。
巨大な星が燃えつきて死ぬ。そのとき星は超新星爆発を起こし、その膨大な熱と圧のにより、さらに新しい元素、人間にとって必須微量元素の原子番号27コバルト、29銅、30亜鉛、34セレン、42モリブデン、53ヨウ素その他の元素が創発した。
太陽系は超新星爆発で飛び散った塵やガスから作られた。そのため、地球は原子番号92のウラニウムまでの多様な物質からなる複雑な星として生まれることができた。
地球も、また私たちの体も、星によって作られた。私たちは星の子である。
こうして、さまざまな僥倖に恵まれて、生命が生まれる絶妙な条件が整えられて地球は生まれた。地球の誕生はとても祝福されたものだったのだ。