昨日のブログで名前が出た、中国のウイルス抑え込みを主導した調査チームトップの鍾南山医師が、型コロナウイルスが人間の体内で生存しやすいよう変異して感染力が強まっており、致死率はインフルエンザの20倍になると述べた。
https://www.youtube.com/watch?v=CYU5ncvEdOs
(ところで、鐘医師は韓国の専門家とのオンライン会議でもウイルスの変異について指摘している。日本の政府や専門家の人たちは、こういう情報交換を中国とやっているのだろうか。http://japanese.china.org.cn/life/2020-04/12/content_75922015.htm)
また、英ケンブリッジ大などの研究チームは9日、160例の新型コロナウイルスの全遺伝情報(ゲノム)を解析したところ、変異パターンが3種類に大別されることが分かったと発表した。https://www.youtube.com/watch?v=RUrC57UZjYk
コロナウイルスは変異しやすいことが知られていて、より感染力が強く、致死性の高いものへと変異しているのではないかと懸念される。
この短い期間ですでに変異が確認されたとなると、このウイルスとの闘いはこれから相当長く、というよりエンドレスに続くのでは。
インフルエンザウイルスも、どんどん変異するから、去年のワクチンが今年のタイプには効かない。新型コロナの場合も、ウイルスが変異するごとに別のワクチンの開発が必要になるというのが繰り返されるのではないか。
ウイルス、おそるべし。
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この期におよんでも、日本政府もがんばっているんじゃないですか、などと言う人がいるが、海外主要国の施策との比較をすれば、一発でわかる。
市民への広報、情報開示もひどい。
日本の発表には、「何人検査したうちの何人が陽性だったのか」という最も基本的な数字がない。
例えばきょう12日12時の発表(新たな陽性者が743人、検査実施人数2490人)は、たぶん11日から今朝までの集計だと思うが、この感染者数には、ある県のきのうの検査の結果もあるだろうし、地域によっては時間がかかって4日前の検査の結果が入っているかもしれない。(東京のある救命センターの医師はウイルス検査について「3日前に保健所に頼んだ検査の結果がまだ届かない」状況を嘆いている=朝日朝刊/保健所を通す方式をやめるべきだろう)
全国の今日時点の新たな感染者と検査数を発表されても、どこでどんな割合で陽性者がでているかなどの実態がわからないのである。
わざと分からないようにしているのでは、と疑いたくなるほどだ。
そこで、都道府県別の統計を見ようと思うと、その資料もまた、非常にわかりにくいところに載っていた。https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000620190.pdf
地域ごとの検査数に大きな差があるのにびっくりする。
以下、4月7日までの数。
東京都 検査人数 4992人 陽性者数 1347人 陽性率 27.0%
千葉県 1500人 317人 21.1%
大阪府 1792人 525人 29.3%
京都府 1787人 149人 8.3%
和歌山県 1756人 29人 1.7%
大分県 1907人 41人 2.1%
岩手県 119人 0人 0%
人口100万人前後しかない和歌山や大分が、900万人近くをかかえる大阪府と同じくらいの検査数になっている。東京、大阪は少なすぎる。この差は知事のリーダーシップか。
この地方ごとのばらつきの大きさは、政府の検査に関する指導ができていないことを意味する。
陽性率は東京、大阪とも3割!検査を絞って絞ってやるからこんなに陽性率が高いのだろう。多くの陽性者が検査の網にかからずに放置されている。
都会の感染率が高いことは間違いなく、都会から地方に行った人が感染源だった事例がいくつも報じられている。東京、大阪の「隠れ感染者」がどれだけいるのかを考えるとおそろしい。
最後に残る「非感染県」岩手だが、こんなに少ない検査数では、ひっかからなくても当然だろう。アマゾン奥地の先住民まで感染しているのに、岩手に感染者がいないはずがない。
とにかく、検査対象を一気に拡大して感染者を割り出し、隔離するしかない。安倍さん分かってるかな?
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「自分のやりたいことって、いったい何なんだろう」。
失業して空白状態になり、こんなことを考えている。
「ジン・ネット」というテレビ番組制作会社(制作プロダクション)をやっていたときも、「おれ、この仕事に向いているのかな」という思いはずっとひきずっていた。他人にそれを言うと、「まさか、天職じゃないですか」と驚かれたりしたが、本心だった。
倒産後、進路をめぐって考えていると、自分も思い当たることのある、こんな文章に出会った。
《私は、かつて、高校生の自己発見、進路発見をサポートしていたとき、はじめは、「やりたいことは自分の中にある」という誤った考えを持っていた。
だれでも、もともとやりたいことが自分の中にあって、自分の中の好きを分析し、そのベクトルで、自分を磨き、自分がより強く、より賢くなれば、より技術を磨いていけば、やりたいことは見つかるし、できるんだと。》
山田ズーニー『おとなの進路教室』(河出文庫)のLesson4「やりたいことを発見する方法」の一節である。
山田氏は『伝わる・揺さぶる!文章を書く』というベストセラーの著者でもあり、表現教室のワークショップや講演などをつうじて表現力・考える力・コミュニケーション力の育成をしている。
本書は『ほぼ日刊イトイ新聞』の連載「大人の小論文教室。」の中から就活に関するものを選んで載せてある。
山田氏自身、38歳のとき、大きな進路変更を迫られ、「これから自分はどうやって生きようか」と本気で考え始めたら、本当に恐ろしく、孤独で、そこに頼るものは何一つなかったという体験をしたそうだ。
この本の「はじめに」に「本書は指南書ではありません。(略)しかし本書は、自分の考えを引き出すのによく効きます」とある。
文章教室という形をとりながら、この本には、さまざまな人たちが、納得のいく進路を見つけ出そうとする苦闘が赤裸々に書かれ、考えさせられる。
うち、Lesson20「テーマと世界観」がとくにおもしろかった。
《「やりたいことが見つからない」って、みんなよく言うけど、そう言うときの、その「やりたいこと」って、どういう次元なんだろう。
ジャンル? 職業名? 会社?》
ここから、山田氏の姪っ子の大学受験時の自己推薦状を添削した経験が語られる。姪はちゃんと社会福祉士という「やりたい職業」があり、意志はかたい。だが、それだけでは弱かった。
《単純に言ってしまうと、
「社会福祉士になりたい。だから、大学へ行きたい」
という文章になってしまう。
「で、大学に行って、何を学ぶの?」
と突っ込まれそうだ。そこで、
「テーマがいるね」
と私は言った。その職業に就いて、主にどんなテーマに取り組んでいきたいのか?
姪っ子には、ちゃんと「マイテーマ」があった。「地域と福祉」だ。彼女は、比較的小規模の地域という単位で福祉の問題解決を図っていきたいそうだ。
「職業名」×「テーマ」で、文章はずいぶん強くなった。ざっと言えばこんな感じだ。
このようなきっかけから私は社会福祉士を目指すようになった。そのための取り組みから、地域と福祉というテーマに出会い、強い関心を持つようになった。だから、大学では、地域福祉論を学び、将来は、社会福祉士として、地域福祉に貢献していきたい。
理路整然としていていいのだけれど、なにかが足りない。
「職業名」×「テーマ」×「?」、このもうひとつの要素はなに?》
それは「世界観」ではないかと山田ズーニー氏は考える。
世界観とは何だろうか?
(つづく)