失業中の進路さがし

 きょうの厚労省発表では、新たな感染者は658人。一日の感染者数では最高で、感染者がじわじわ増えている。

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4月11日厚労省発表


 検査実施数が6120人。検査結果が出るのに数日かかる場合があるから、この二つの数字を直接対応させて1割強が陽性だというわけではない。ここ数日の検査実施数は1533(6日)から9139(7日)と差があり、ならして平均5000くらいとすれば、陽性の割合が非常に高いとは言えそうだ。他の国のように、検査の網を広くかけた場合、どのくらいの感染者が出てくるか予想できない。不気味である。

 リベラルなニュース解説チャンネル「デモクラシータイムス」で3日に配信した「新型コロナ重大局面 東京はニューヨークになるか」を見て愕然とさせられた。
 東大先端研がん代謝プロジェクト・リーダーの児玉龍彦教授が、日本の新型コロナ対策が絶望的に遅れていることを説得力あるデータとともに指摘している。

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 私が関心を持った、さわりのところを紹介すると―
 中国はほぼ完全にコロナを抑え込んだが、これはなぜか。
 事態を軽視して出遅れた習近平が、SARSの火消し役をつとめた鍾南山医師に一元的に権限を移し、そこに米国で学んだ先端的な情報科学者や遺伝子工学では世界トップの中国BGIのような企業の研究者を入れて対応させてから、状況は一変したという。
 武漢市を隔離したと伝えられたが、あれは隔離ではなく、感染集積地を明確に特定して、1000床の隔離病棟二つを10日で作り、5万4千人の医療部隊を非感染地から大動員した。他の地域は、隔離はせずに徹底した追跡を行った。中国では平安保険という生命保険会社で3億人のカルテを持っている。すでにデータベースがある。

 中国にしかできない部分もあるが、この方式には注目すべきだと提言した。だが、政府は相手にせず、メディアも中国についてはヘイトみたいなことしか言わない。
 中国BGIとロシュ(スイス)にPCR検査で後れをとったこともあって、日本はPCR検査に後ろ向きだった。アメリカも同じく、研究者が中国に負けたことで嫉妬して後れをとった。
 いま、大きな構造変化が起きている。情報科学遺伝子工学を中心にする方法にガラッと変わったことを知らなければならない。

 東アジアの香港、台湾、韓国、シンガポールはみなこの方向に足並みをそろえて成功している。
 米、英、日本がこれに対抗して検査を広げないやり方をやっていたが、米国と英国は抑え込みに大失敗して検査拡充に舵を切った。日本だけが取り残されている。

 いますぐ、専門機関のトップを替えて検査体制を抜本的に改善しないと、日本がクルーズ船のようになりかねない。
 また、地域の中核病院を守るてはずを整えなければならない・・・

 この動画を見て、さらに心配が募り、祈るような気持ちで推移を見守っている。
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 NHKBS1で、目撃!にっぽん「おせっかい不動産」というドキュメンタリーを再放送していた。
 たまたま観始めたら、おもしろくて最後まで観てしまった。
 《横浜にちょっと変わった不動産屋がある。客のほとんどは生活保護受給者やDV被害者など事情を抱えた人たち。家賃滞納などのリスクから、他の不動産屋では部屋を紹介してもらえず駆け込んできた。代表の齋藤瞳さんはそうした人たちのために、大家に手紙を書いたり直接訪問して契約にこぎつける。そして、入居後も見回りや交流会をして、孤独を抱える人たちを支えようとしている。》(番宣より)

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齋藤瞳さん

 この不動産屋は「アオバ住宅社」といい、社長は齋藤瞳さんという今は40歳の女性だ。この人が実に面倒見がよい。なかなか貸し手が見つからず、場合によっては大家さん十軒以上に掛け合って交渉する。入居したあとの暮らしぶりをフォローし、人生相談にものる。
 お客は、簡易宿泊所から立ち直ろうとアパートに入居した元ギャンブル中毒の男性や、父親の暴力や学校でのいじめでひきこもっていた障害をもつ若い男性など、社会で孤立していた人ばかり。
 事務所はたまり場のようで、お客が立ち寄って食事をしていったりする。うまくいかないときは落ち込んで泣き、うれしいときはお客と笑いあう。お客からの信頼は厚く、頼りにされている。

 実は彼女自身、大学で上京していらい、周囲から孤立し、さまざまな職業についたが、心満たされないまま生きてきた経験があった。その原点から、人と徹底的に向き合いたいと思ったのだという。すばらしい生き方である。

 
 私は2月末に会社をしめて今は失業中だ。
 これから何をしようかと考えているが、まだ決めかねている。
 いったい自分は何がやりたいんだっけ、と自問している。就活中の若い人から、好きなことをやれと言われるけど、自分でも何が「好きなこと」なのか分からないという声を聞くが、私もそんな感じだ。

 そんなとき観たこのドキュメンタリーに、いろいろ考えさせられた。
 「人と向き合う」ということを不動産屋という職種でできることが意外だった。
 しかし、考えてみると、それは商店の店員でも、タクシー運転手でもどんな仕事でもできるのだろう。
 ということは、大事なのは「職種」ではないのではないか。
(つづく)