ジン・ネット業務終了のお知らせ

 突然ですが、2月末をもって株式会社ジン・ネットが事業を終了したことをお知らせします。

 弊社は、1998年12月の創業以来、まる21年、テレビの報道・ドキュメンタリーを中心にテレビ番組の制作を行ってきましたが、諸般の事情により、2月29日をもって廃業することになりました。

 テレビ番組の制作環境が厳しさを増すなか、何とか事業を存続すべく企業努力を続けてきましたが、売り上げの減少を止めることができず、資金繰りも行き詰まり、大変残念ですが、業務を終了せざるをえない事態に立ちいたりました。

 皆様のこれまでの長きにわたるご支援に心から感謝申し上げるとともに、廃業によりご迷惑をおかけすることを深くお詫び申し上げます。株式会社ジン・ネット 代表取締役 高世 仁
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町1-8 NCO神田小川町9F  http://jin-net.co.jp/
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 始まりがあれば終わりがあるのは世の常だが、とうとうその日がやってきた。きのうから会社のメルマガ、フェイスブックツイッター、ホームページで廃業を告知している。

 私とジン・ネットの仕事を応援していただいた、このブログの読者のみなさんにも感謝申し上げます。ありがとうございました。

 廃業といっても要は倒産で、いろんな人にご迷惑をかけてしまうのがつらく、申し訳ない。
 破産申し立ての準備に入り、これまで、税務関係を含む21年分の資料、機材・備品、書籍などを整理、処分しつつ、役所での諸手続きや弁護士など関係者との打合せをしていた。

 こういう事態を招いたのは、ひとえに会社の代表である私の力不足、努力不足によるものだが、廃業を告知すると、驚くほど多くの人から、過分なお言葉と激励のメッセージをいただいた。
 その中に、ジン・ネットの廃業と現在のメディア状況を関連付ける指摘が、とくにテレビ業界にいる人たちから寄せられた。

 

 「ジン・ネットや高世さんのお仕事は、テレビのジャーナリズムにとって、たいへん重要なフィールドだと思ってきましたし、いまでもそう思っています。これは、テレビが大きく変わってしまった証なのだと思います。」(在京民放テレビ局幹部)

 「日本のテレビジャーナリズムを支えてきジン・ネットさんの撤退は、業界全体の地盤沈下を象徴しているようにも思います。我々放送局側にも、大いに責任があると実感しています。」(在京民放テレビ局報道部門のベテラン)

 「テレビ局の弱体化が招いた結果に申し訳ない思いでいっぱいです。先輩らが築き上げたジャーナリズム精神をどうビジネスに替えるか・・・
 個人的に探求しているつもりですが、なかなか答えが見つかりません。今や、放送局の中の「報道局」の存続すら危ぶまれていて、果たして、映像ジャーナリズムをどう生かして行けば良いのか・・・暗澹たる思いです。」(在京民放テレビ局の報道関係の部長経験者)

 「テレビとジャーナリズムが乖離し始めていると考えていた中で、本物の仕事を続けてこられたジンネットの皆さんが解散されるという知らせに、また一つ大切なものが失われたという思いがします。」(在京民放テレビ局報道部門のOB)

 「海外報道の先駆けであり、その志と番組は我々の目標でした。本当に残念です。
 しかし、今のテレビ番組を見ていると、確かにジン・ネットの居場所が少なくなってきたことは実感できます。」(テレビ番組制作会社社長)
 
 「これからの時代の中で、もはや制作会社という業種は存続しえないのではないかと思っています。仮に、時代の変化に耐えうる業態と体力と筋力を備えたとしても、それでもなお厳しい環境下にあらざるを得ない気がします。そうした中で、テレビ(映像制作)とジャーナリズムの同居は、以前にもまして格段に難しくなりました。
 何とかその流れにあらがおうと思っています。」(テレビ番組制作会社社長)

 
 「テレビ報道で「見たことないような新しいことをしよう」「本質をグリグリえぐる作品をつくろう」とみんな必死で走ってきましたが、ここ最近のマスメディアのおかしな動きには対応できません。」(在京民放テレビ局報道番組プロデューサー )

 ジン・ネットへの過分の評価はお世辞としても、業界の中にあって、今のメディア状況に疑問と危機感をもっている人が、テレビ局の幹部を含めてたくさんいるのが分かる。
 その状況に抵抗したいと思う人がそれだけいても覆せない。なぜなのか、それが問題だ。