アウシュビッツ解放75周年

 ゆうべは、みぞれから深夜は雪になったようで、朝近所の車の上にうっすらと白く積もっていた。
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 新聞に「山形市百貨店ゼロに」との見出し。
 ついにあの「大沼」がなくなったのか・・。残念だ。
 《創業300年を超す老舗で、山形県内唯一の百貨店「大沼山形本店」(山形市)が26日の営業を最後に閉店し、同店を経営する大沼(長沢光洋・代表取締役)は27日、山形地裁に自己破産を申請した。日本百貨店協会によると、全国の県庁所在地で協会加盟の百貨店がなくなったのは、山形市が初めてという。
 同店は市の中心街にあるデパートとして、長年県民に親しまれてきたが、郊外型店舗との競争激化やネット通販の拡大などで売り上げが減少。経営再建を進めていたが、昨秋の消費税率引き上げで業績悪化に拍車がかかり、資金繰りに行き詰まったという。》(朝日)

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 閉店時の従業員は191人で、26日付で全員解雇されたという。経営再建中だったが、去年には米沢店が閉店していた。
 大沼は1700年創業で、現存する百貨店では、1611年創業の松坂屋、73年創業の三越に次ぐ老舗だそうだ。本店は山形市中心市街地、七日町の角にあり、そのはす向かいにあったライバルの「丸久」デパートとともにまちの賑わいの象徴だった。たぶんお子さまランチというのを初めて食べたのも大沼だし、中高時代に友達と屋上の遊園地をひやかしたり、若いころのいろんな思い出とともに大沼はあった。
 故郷を離れて長い私がショックを受けているくらいだから、地元は行政も含めて動揺は大きいだろう。田舎の商店街が寂れていくさまに胸を突かれる思いがする。
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 きのう27日は、ナチス・ドイツアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所旧ソ連軍によって解放されて75年にあたる。収容所跡地では追悼式典が行われ、ホロコースト(大虐殺)の生存者や各国首脳が出席した。

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入り口にarbeit macht frei(働けば自由になる)

 他の民族や国に対する優越を掲げたナチス・ドイツは、約600万人のユダヤ人を虐殺。ほかにも、多数のポーランド人やソ連人捕虜、ロマ人、同性愛者、障害者などが殺害された。
 アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所での犠牲者は約110万人。その9割がユダヤ人だった。多くのホロコースト生存者が出席できる大規模な追悼式典は、今回で最後になる可能性があるという。https://www.bbc.com/japanese/51275926

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死体の焼却炉

 見逃せないのは、ユダヤ人を狙う暴力などの犯罪は今も世界各地で起きており、むしろ増えていることだ。
 フランス国内で起きる反ユダヤ主義的行為の数は、2017年の311件に比べ、2018年には74%増の541件に増えている。
 ドイツ内務省によると、反ユダヤ主義に絡む犯罪は、ドイツ国内で13年から18年に40%以上増えた。
 また、人種差別などの状況を調べる欧州基本権機関(FRA)の18年の調査によると、回答した欧州の1万6千人のユダヤ人のうち、89%が「反ユダヤ主義が過去5年の間に自国で増えた」と回答した。さらに、危害を加えられる危険などを感じ、移住を考えたりしている人は、ドイツとフランスでそれぞれ46%、ベルギーで44%だった。半分近くが移住を考えるほどの身の危険を感じていることに驚く。

 その一方で、アウシュビッツ・ビルケナウ博物館への訪問者は年々増え、2019年は過去最多の232万人を記録した。
 ヘイトや反ユダヤ主義が広がるなか、それだからこそ、歴史の事実を見つめ直す意義があると考えている人も多くなっているということだろうか。私が4年前に訪れたときには、スタディツアーの若い人たちがたくさんいた。とても熱心に学ぶ姿に頼もしさを感じた。

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多くの若者が熱心に見学していた(2016年5月)

 《博物館のピヨトル・ツィビンスキ館長は「訪問者は過去を学ぶだけでなく、激しく変化する現代社会の答えの一つを求めているのではないか」と話す》(朝日新聞)。
https://www.bbc.com/japanese/47288922