短歌に見るそれぞれの人生

 きのうから郡上では徹夜踊りが始まった。

 岐阜県郡上市で13日夜、「郡上おどり」のクライマックスとなる徹夜おどりが始まった。浴衣姿の男女が16日までの4日間、夜明けまで踊り続ける。三味線や笛、太鼓のおはやしとともに、踊り手たちが鳴らすげたの音が市街地に響いた。》
 去年、郡上カンパニーで通った郡上市は夏の踊りで知られている。
 今年は7月14日の「踊り発祥祭」から始まって9月8日の「踊りおさめ」まで町のあちこちでさまざまな踊り(個人おどりコンクール、団体おどりコンクール、変装コンクールなどもある)が催される。(平成30年郡上おどり日程http://www.gujohachiman.com/kanko/odori_schedule.html
 そのピークが13日から16日で、徹夜おどりといって午後8時から朝6時までおどりが続く。ほんとに朝まで踊っているのだという。今年、ぜひ行こうと思っていたのだが・・。来年の楽しみにしよう。
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総裁選石破氏まともに見える怪(千葉県 川名和夫)


 今朝の朝日川柳の選句。自民党総裁選を控えて、石破氏を好ましく感じ、あれ、昔はこの人、軍事オタクのおかしな人だと思っていたのに、どうしてだろうと不思議がっている人、いまたくさんいそうだな。私もだが。安倍氏圧勝となると、いまの暴走がもっとひどくなるのではと恐れる。
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 先日の短歌の話のつづき。
 朝日歌壇で私がファンなのは、九螺(くら)ささらより上田結香(ゆいか)という人。この人も朝日歌壇の常連で、一回に複数首選ばれることもある。 

 2014年第31回朝日歌壇賞に入選した歌。
泣き虫の留学生を覚えてる?テムズ川よ子どもと来たよ

 若いころ留学したロンドンを再訪しての感慨。
 受賞しての一言に「皆様に感謝します。テレビ朝日のアナウンサーだったこともあり、言葉を大切にと心がけています。より精進いたします」とある。調べると、同期アナウンサーに川瀬眞由美寺崎貴司がいる。1985年にテレビ朝日へ入社とあるから今55歳くらいか。退社してアナウンス講座の講師をしており、『アナウンサーのかんづめ―就職活動の素』という著作もある。

 12日も選歌されていた。 

職質をされて遅れる人もいて午前三時の早番集合

 上田結香は、暮らしの中のちょっとした喜怒哀楽を実にうまく表現して「あるある、そんなとき」と思わせてくれる。不思議ちゃんの九螺ささらとは全く違った、親しみやすい歌風だ。都会人らしいちょっと斜に構えた歌も全然いやらしくない。世代が近いせいかしっくりくる歌が多い。

物ってさ考えてみたら不思議だね愛は終わっても指輪ここにある

「なぜ家に遊びに来ない?」と言う人よそれがわからない人だからだよ

幸せをみんなに配ってあげたいが難しいからみかんを配る

正月などなければいいと思ってる嫁がいることそろそろ気づこう

「どうしろって言うんだよ」と吐き捨てるそれを考えてほしかったずっと

思い出の沿線にまだ住んでいる君をさらって銀河鉄道
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 短歌といえば、横田めぐみさんの母親、早紀江さんも心にしみるいい歌を詠んでいる。

はろばろと睦み移りし雪の街に 娘を失いて海鳴り哀し

 日銀勤務の滋さんの転勤で、広島から新潟に引っ越したのは、めぐみさんが小学校6年の時。夫妻とめぐみさん、その4歳下の双子の息子の一家5人は、当時が一番家族がまとまって楽しかったという。「はろばろと睦み移りし」、うまいなあと思う。拉致された現場は、自宅近くで、浜からは500mほど。毎晩海鳴りが聞こえてくる。


朝まだき さえずる鳥の声も哀し 子を待つ淡き門灯三とせ

 めぐみさん失踪以来、いつ帰ってきてもいいように、門灯を一晩中、つけっぱなしにして待ち続けていたという。朝明るくなって門灯を消すとき、きょうも帰ってこなかったのだなと哀しくなるという歌だ。
 何度も死にたいと思う絶望のなかで、早紀江さんを支えたものの一つが歌を詠むことだった。早紀江さんも一時、朝日歌壇に何度も選ばれていたそうだ。
 いまの歌壇に投稿する人たちにも、それぞれの人生の喜び、悲しみがあるのだろう。