官邸が絡まなければすぐ捜査

 JRお茶の水駅から靖国通りに降りてくる道の一つがこの「池田坂」だ。

 「この坂に面して九百石取りの旗本池田家の屋敷があったことから名付けられました。また、池田家に唐犬がいたため、唐犬坂という別名もあります」との案内が書いてある。この先には、太田姫稲荷神社がある。江戸の開祖とされる太田道灌の愛娘が重い疱瘡に罹り、この神社に祈願して病が癒えたことに名の由来があるという。このあたりは江戸時代からの古い町なので、どこを歩いても歴史散歩ができて楽しい。

 きょうはこの坂を歩いて、「炊」(たく)という弁当屋さんへ。毎日日替わりの炊き込みご飯3種類と手作りおかず10数種類から自分で選ぶ。きょうはあさりご飯を頂いた。https://twitter.com/takikomi_taku(写真はツイッターより)
 60歳代のかわいいおばちゃん3人で切り盛りしているが、チェーンの弁当屋に押されて、経営が苦しいらしい。私は他人に紹介したり、忘年会の料理を注文したりささやかに応援している。お互い厳しいけどがんばろうと励まし合ったりもして。きょうはおばちゃんたちに15日の情熱大陸の放送告知をした。「必ず見ます。楽しみです」といつも笑顔で言ってくれるのがうれしい。
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官邸が絡まなければすぐ捜査 (長野県 川畑哲彦)朝日川柳11日 

 息子を不正合格させるため東京医科大学に便宜を図ったとして、受託収賄の疑いで文部科学省の局長が逮捕された事件。こういうのは検察もすぐに動いてどんどん捜査が進むのに、肝心の大疑獄事件は、という川柳。
 東京医科大学は、きょうになって過去の裏口入学リストが暴露され、理事長以下大学ぐるみの裏口入学が常態化していた疑惑が明るみに出ようとしている。そういえば最近、大学のトップの品格や経営体制が問われることが相次いでいる。女子レスリング・パワハラ事件の至学館大学しかり、アメフット部悪質タックル事件の日本大学しかり。
 6月28日早稲田大学の総長が決まったが、これはちょっと見ものだった。
 早大総長選でまさかの大番狂わせ! “本命”副総長破り、田中愛治氏が選出」https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180629/soc1806290012-n1.html
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180618/soc1806180001-n1.html
 現執行部が押す島田陽一副総長(法学学術院教授、ラグビー部部長)が大本命で、早稲田実業の校長だった藁谷(わらがい)友紀教授が、森喜朗元首相や王貞治福岡ソフトバンクホークス会長など大物OBの後援を受けて2番手、田中愛治氏(政治経済学術院教授、空手部部長)が「大穴」と見られていたが、6月14日の第一回投票でいずれも過半数を取れず、島田、田中の上位2人の決戦投票にもつれ込んでの混戦を田中氏が制した。田中氏1,899票、島田氏1,692票だった。田中愛治氏は、元日本共産党書記長、のちに右翼の大物となった田中清玄氏の次男。おもしろい人らしい。
 近年、早稲田大学リーガロイヤルホテルを誘致したり、近隣の土地買収に乗り出したりして、地元からも「早稲田も変ったな」と疑問の声が挙がっていた。この利益追求路線を継承するのが島田候補とされ、選挙前には、雑誌『選択』5月号が「早稲田大学「六月総長選」の裏事情」と題する記事で、島田候補のバックにパチンコ業界の大立者がいるなどのスキャンダルを指摘していた。https://www.sentaku.co.jp/articles/view/17933
 実は、私は島田氏とは大学、大学院を通じて親しく、いろいろ思い出がある。早大教授だったお父さんも存じていて、自宅に招かれてしこたま飲み、寝床でゲロを吐いて迷惑をかけたこともあった。島田陽一氏は法学部の労働法の教授となり、その後、大学の執行部に入ってどんどん出世していった。2008年、中国の胡錦濤国家主席が大隈講堂で講演をしたさい、抗議に来たチベット人などが警官隊に排除されたことがあった。このとき、学生部長として警官隊を導入し、学の独立をかなぐり捨てるのかと批判されたのが島田氏だった。
 もう30年以上会っていないが、もともとはリベラルな人だった島田氏が、雑誌記事が正しければ、権力者体質に変貌していったことになる。複雑な感慨がこみあげる。人というものは、どのように人格を形成していくのか。また、早稲田は、日本の大学はどうなっていくのか。個人的にもいろいろ考えさせられた総長選だった。