がんばれ!最年少上場の村上社長

takase222011-12-07

大震災、原発事故、世界金融危機。まさに「閉塞」のご時勢に、どんと元気を与えてくれる型破りの若者がいる。

きょう、久しぶりに一人でカメラかついで取材に行った。
場所は東京証券取引所。ある企業が東証マザーズへの上場をはたすことが話題を呼んでいる。その社長は村上太一さんといい、10月27日に誕生日を迎えたばかりの25歳。
上場企業になる社長としては史上最年少記録である。
村上さんが経営するのは、アルバイト求人情報サイトの「ジョブセンス」などを運営する「リブセンス」という会社。創業は2006年2月で、彼が早稲田大学政経学部1年在籍中に学生だけで起業した「学生」ベンチャー企業だ。
「リブセンス」は、アルバイト求人サイトの「ジョブセンス」と正社員・契約社員の求人を専門とした転職サイト「ジョブセンスLink」、派遣社員の求人を専門とした「ジョブセンス派遣」を事業の中核に、賃貸不動産情報検索サイトの「DOOR賃貸」や中古車情報サイトの「Motors‐net」を運営する。
従業員数は正社員36人とアルバイト17人(9月30日現在)。10年12月期の売上高は6億3700万円、経常利益2億1700万円、当期純利益は1億2300万円だった。ほぼ全株式を役職員が保有し、株主にベンチャーキャピタルなどは入っていない。
上場までわずか5年というスピードはもちろん異例だが、ベンチャーキャピタルからの資金を一切入れずに、ここまでの急成長を遂げたのもきわめて珍しい。
急成長を可能にしたのは独自の新しい発想だった。
情報掲載時点で広告料が発生していた求人広告業界の常識を打破し、成果報酬型を取り入れたのだ。つまり、企業が人材募集情報を出すのは無料、ただし、実際に採用したら「成果」への報酬としてジョブセンスがお金をいただきますという仕組み。
さらに面白いのは、採用された人には「祝い金」(最高2万円)を出すこと。人を採用する企業も、職を探す側も、ともにうれしいシステムである。まさにコロンブスの卵。
この方式で人材情報の分野で大成功したあと、不動産市場と中古車市場に進出して旋風を巻き起こしている。
当然、追随者が現れ、すでに100社以上が似たようなシステムを採用しているというが、これまでに蓄積したノウハウは簡単には真似られませんと村上さんは自信ありげだった。
新規上場にあたっては、「立会開始の鐘」を鳴らす儀式が行なわれる。村上社長は、満面の笑みで力いっぱい鐘を叩いた。
史上最年少記録の快挙がビジネス界でも話題を呼んでおり、きょうは、めずらしく東証社長も顔を見せた。初値も高く、ストップ高まで上がった。近年なかったことだという。
《求人情報サイトなどを運営するリブセンスが7日、東証マザーズに上場し、公募価格(990円)を82%上回る1800円の初値を付けた。「好調な業績が注目された」(国内証券)といい、制限値幅の上限(ストップ高水準)にあたる2200円で取引を終えた。》(日経)
村上さんは経営者だった両祖父に憧れ、子供の頃から社長になることを意識していた。 早稲田大学1年のとき「ベンチャー起業家養成基礎講座」のビジネスプランで優勝し、大学のインキュベーション施設のオフィスを1年間無料で手に入れ、19歳でリブセンスを立ち上げた。
「会社とはどういうものか、事業を創るにはどうすればよいのかといった知識さえ持たない状態からのスタート」(村上さん)だった。
急成長ベンチャー企業の若い社長となると、「イケイケ」の面構えで、サングラスにジーンズかなんかで乗り込んでくるかと思いきや、しっかりスーツに身を包んだ人懐こい笑顔の青年が現れた。きちんと敬語を使い、物腰がやわらかい。そして、とても率直に夢を語る。
とても「いいヤツ」なのである。
今もワンルームに住み、家でも夜中まで仕事を続けるストイックさも持ち合わせている。そんな村上さんの経営理念は;
「幸せから幸せへ」「文化となるWebサービス」「社会になくてはならないと思われるサービス」
「文化」にまでなるためには、(例えばYahooのように)圧倒的なナンバーワンかオンリーワンになりたいという。
そして、企業を希望する若者の目標になりたいとも。
新しい時代を見据えている村上さんにエールを送りたい。
(きょうは、テレビ東京の取材班と一緒になったが、夜のWBSで村上さんが紹介されていた)