大國魂(おおくにたま)神社の大ケヤキ。老木が空に向かう迫力に感動した。
3日の夕方、自転車で通りかかったら、境内は参拝者の長蛇の列。みんなが祈るのは「しあわせ」だろうな。
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きのう、朝日新聞朝刊に私の尊敬する人が出ていた。そしてその人は、カンボジアの絹絣(きぬがすり)を復興した森本喜久男さんにご縁のある人だった。
【(ひと)平野彰秀さん 小水力発電をきっかけに過疎集落の再生を目指す】
霊峰白山の南。岐阜県郡上(ぐじょう)市から峠をひとつ越えた石徹白(いとしろ)に移り住んで7度目の正月を迎えた。
1メートル余りの雪の下で、用水路を流れる豊かな水が約110世帯の2倍の電気を生み出している。
水路に水車を仕掛け、さらに全世帯に出資を呼びかけて、一昨年夏に発電所をつくった。休止中だログイン前の続きった農産加工所を再生して特産の「つぶもろこし」を開発、水車で充電した電気自動車で、お年寄りを病院や買い物に送迎する計画だ。昭和のはじめ、谷川で発電した先人の知恵がよみがえった。
「エネルギーや食糧を自分たちで作り出す。いまの暮らしがこの土地の歴史の流れの上にあることを実感できます」
そんな生き方が身体になじむのか、この10年で新住民は13世帯40人に増えた。春と秋に水路の土砂上げをする井普請(いぶしん)、お年寄りから昔話を聞く会に人が集まる。
岐阜市生まれ。大学、外資系コンサル会社勤務と10年余り東京で暮らした後、Uターン。「目先の利益、効率、数字を追う生活に無理に合わせている自分がいた」
郡上市への移住を前提にした新事業を春に立ち上げる。どぶろく作り、狩猟、地域電力などへの参加者を募集中だ。「『はずれ値』というか、枠から飛び出すことの価値が大きくなっているんじゃないか。ぼくもはずれた? いや、世の中はこっちに向かっていますよ」
ひらのあきひで(42歳) (文・写真 菅沼栄一郎)
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私が郡上に通うようになったのは、森本喜久男さんに「おもしろいから行ってみたら」と勧められたからだ。インタビューした『自由に生きていいんだよ〜お金にしばられずに生きる“奇跡の村”へようこそ』(旬報社)にも平野さん夫妻が登場する。
森本「例えば、大学時代から何度もこの村を訪れて、村のあり方に感銘を受けたという女性がいるんだけど、彼女、白山のふもとにある限界集落といわれる村に移住していった。そして彼女たちの努力で、今、そこは話題の村になっちゃった。」(P216〜)
以下、石徹白の話がつづくのだが、この女性が平野さんの奥さん、馨生里(かおり)さんで、去年春、森本さんの村「伝統の森」に9回目の訪問を果たしている。その土地その土地に伝わる伝統を宝物として発見するという姿勢を森本さんに学んで、それをいま日本で実践しているのだろうと私は解釈している。
平野さんたちの活動は、「村おこし」とか「地方活性化」などという用語ではおさまらないもので、私は一つの「革命」だと思う。これからの日本の進路のオルタナティブの本流になるだろう。
去年暮れ、4人家族が新たに移住して、移住者は40人になった。集落の人口がおよそ250人だから、移住者の割合が2割に近づいていることになる。今後の展開が楽しみだ。