イスラム国と戦うクルド女性兵士

takase222014-12-28

資金繰りは何とか目途がついたが、年末のいろんな用事がたまっているので、今夜の放送準備をしながら会社の年賀状を印刷。うちの年賀状も書かなくては。
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今夜のMrサンデーで、「イスラム国が怖れる最強部隊〜クルド女性兵士の素顔」を10分30秒くらいのVTRで放送した。
クルド人とは・・・
《トルコ・イラク北部・イラン北西部・シリア北東部等、中東の各国に広くまたがる形で分布する、独自の国家を持たない世界最大の民族集団である。人口は2,500万〜3,000万人といわれている。中東ではアラブ人・トルコ人ペルシャ人(イラン人)の次に多い。宗教はその大半がイスラム教に属する》
イスラム国が最も激しく攻撃するのが、イラクとシリアのクルド人居住地区だ。クルド人イスラム教はスンニなのだが、イスラム国の教義であるサラフィー・ジハード主義からみると異端となる。
取材したジャーナリストの遠藤正雄さんに聞くと、オイルマネーで潤うイラククルド自治区の首都アルビルでは、欧米の町と同じ格好をした女性たちがショッピングモールを闊歩しているという。他のイスラム教の都市とは雰囲気が違うそうだ。
教義上の違いもあるのだが、イスラム国のターゲットになっている理由はむしろ、クルド人が住む場所に油田が多いこと、また国境に近いことだという。イスラム国は資金源を得るため、油田の獲得と密貿易を可能にする国境ポイントを求めているからだ。
8月、クルド民族のヤジディ教徒をイスラム国が襲い、多くの人々を殺戮し奴隷にしたことがニュースになったが、これがアメリカがイラク領内でイスラム国に対する空爆を始めた一つの理由になっていた。
http://www.afpbb.com/articles/-/3022712

クルド人の軍事組織はイラク側とシリア側では別々で、かつては敵対していたが、今はアメリカの仲介で共闘関係にある。いずれにも女性兵士がいる。
非常に戦闘に強いとされるのがシリア側のYPJという民兵組織。ほとんどが17歳から25歳で、遠藤さんの取材した映像には16歳の少女もいた。(25歳を過ぎると結婚して子どもを産むことが奨励されるという)
家族をイスラム国に殺されたものも多く、士気は極めて高い。親を殺されたアラブ人の女性も加わっていた。アラブ人の間には女性兵士の部隊はないからだ。
世界の軍隊のなかには女性部隊を「お飾り」のように置いているところもあるが、ここは男顔負けの勇猛さで、実際にこのかん、イスラム国から失地を奪い返している。もちろん犠牲も出る。すでに女性兵士300人以上が戦死しており、遠藤さんのカメラには、お墓で泣き崩れる家族が記録されていた。
取材していた女性部隊に、緊急動員令が出て、前線に動員されていった。
その兵士の一人にカメラを託したら、そこに映っていたのは、ピックアップの荷台で揺られながら、「世界の女性の解放のために私たちは戦う」と意気高らかに歌う姿、そしてイスラム国から七つの村を奪還して勝利をよろこんで踊っている兵士たちの姿だった。彼女らの表情には、強い使命を自覚したある種の透明感があり、私は美しいと思った。

今年、英国のBBCが報じたストーリーが反響を呼んだ。
ここ数カ月、シリアのコバニ(トルコ国境に近いクルド人の町)でイスラム国とクルド部隊の激戦が続いているが、ここでセイラン・オザルプ(Ceylan Ozalp)という女性兵士が戦っていた。(写真)
イスラム国の戦闘員に包囲され、銃弾の尽きたオザルプは、無線で「さようなら」の一言を残し、最後にとっておいた銃弾で自決した。捕虜になるより死を選んだ彼女を、BBCは生前撮影しており、番組を作ったのだった。いま、彼女は英雄になっているという。
http://www.ekurd.net/mismas/articles/misc2014/10/syriakurd1423.htm#Related Articles

今回、遠藤さんが、ジランという21歳の女性兵士に「敵に囲まれたらどうしますか」と聞いているが、彼女もためらわずに「自決します」と答えていた。(このシーンは放送されなかった)
ジランの実家を訪ねると、母親と姉妹がいた。遠藤さんが、ジランが戦死したら他のお子さんを兵士にするかとたずねると「すべての娘を兵士にする。名誉なことだから。子どもが軍隊に行くのを拒否すれば私が行く」と勇ましく答えている。父親と兄も兵士になっている。まさに民族総抵抗戦である。
全員が志願兵で無給のボランティアなのだが、ほぼすべての家族から志願兵が出るという。実際には、兵士を出さない家族は村八分になる。戦争の現実のなかでは、すべてがきれいごとではすまない。
「戦争はいやだが、誰かが戦わなくてはならないのです」と言うジランの母親に、我々はどんな言葉をかけられるのか。戦争はいけない、と言ってもすまないのである。
闘う彼女らを見て、感じ方はいろいろだろう。

・・・わが身を犠牲にして民族のために戦うのはすばらしい。
・・・年若い少女に人殺しを強いるなんて残酷すぎる。
・・・戦争のために夢を捨てた、かわいそうな人生だ。

そこで自分の価値観がためされると思う。
同じ年頃の娘たちは何を感じただろうか。