アイスバケツチャレンジ、やるならエボラのために

takase222014-08-27

月曜の朝日歌壇。
東京の上田結香さん、ほぼ毎週入選で好調だ。
今回は2首入選。

「怖い事件あったね」「どの?」と言うような怖い世の中になってしまった

少々の筋肉と多くの友を得てスポーツクラブも二年目の夏

最近、朝日川柳が面白いと思うようになった。ニュースに詳しくないと分からない高度なものも多く、ちょっとチャレンジングである。
なかには、日常の機微をうがった「あるある」と笑ってしまうものも。

列の蟻忙しそうな振りのヤツ  
       長崎県 前田一笑
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アイス・バケツ・チャレンジがブームになっているという。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の啓発と研究支援のために氷水を頭からかぶるか100?を寄付するというもので、次の人を指名する形で広がっている。

テレビニュースで、氷水を嬉しそうにかぶっている著名人を見て、ちょっと違和感を覚えた。写真はブッシュ元大統領。
私の先輩もALSを発症して寝たきりになった。ALSには、他の病気には見られない苦しみが伴い、なんとか治療法が見つかってほしいと私も願っている。
ただ、ALSだけにことさら注目が集まるというのは、どうなのだろう。

タレントの武井壮が氷水をかぶるのを拒否してその理由をツイッタ−でこう書いた。
「氷水をかぶらなかった理由は、ALSは確かに大変な難病だけど公費対象になっている事、他にも難病だけれども対象にならず苦労している方がいらっしゃる事、多くの国で生活に利用できる衛生的な水が手に入らない方々がいる事・・」
そのとおりだなと思う。

がん、認知症、ALSなどの治療法が注目を集めるのは先進国においてである。
一方、発展途上国では、こうした、「高級な」病気は大きな問題ではない。子どもが下痢で、大人がマラリアで簡単に死んでいく。
ALSが日本社会のあり方を揺るがすことはないが、エボラ出血熱は西アフリカの地域社会を機能不全に陥れている。
それなのに、先進国は、あれは遠いアフリカの話でこちらには関係ないと、関心が低いままだ。
地球全体を視野に入れて人々の生活の「底上げ」を目指すなら、エボラ出血熱にこそアイス・バケツ・チャレンジをと訴えたい。

WHO(世界保健機関)は、シエラレオネのカイラフンでセネガル人の疫学者が感染したことを受け、現地のウイルス検査施設から全スタッフを引き上げた。
WHOによれば、これまで医療関係者240人がエボラウイルスに感染し、120人超が死亡したという。WHOの撤退は理解できるが、エボラ感染国への支援がさらに困難になることが心配だ。