29歳医療ボランティアが英国人初の感染

takase222014-08-26


きょうは涼しかった。
夜、駅からの帰り道、虫の音に包まれた。

マツムシにカネタタキも聞こえる。
いつの間にか季節は秋に移行していく。
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きのう、シエラレオネのエボラ多発地区カイラフン(Kailahun)のMSF「国境なき医師団」のクリニックからセネガル人スタッフの感染者が出たことを書いた。
さらにもう一人の外国人医療関係者の感染が判明した。
カイラフンから80キロほど西南の町、ケネマ(Kenema) の国立病院で働いていたイギリス人看護師、ウィリアム・プーリー氏が感染し、おととい(24日)イギリスに搬送されたのだ。イギリス人の感染は初めてだという。
常岡さんは、きのうケネマに入って取材している。

イギリス政府は特別仕様の軍用機でプーリー氏を搬送、警察のエスコートで、感染症専門病院の完全隔離の特別病室で治療を受けているという。
BBCのニュース映像をみると、搬送態勢といい隔離病室といい、こういうときのリスク管理がしっかりしているのが分かる。http://www.bbc.com/news/uk-28923826

記事によると、プーリー(William Pooley)氏は29歳。写真の中央に写る青年だ。
《今年3月から6月まで、シエラレオネのシェパード病院で、ボランティアとしてエボラ出血熱の患者の緩和ケアを行っていた。その後、医療従事者がエボラで死亡し、患者が放置されているとの報道を知って、ケネマ政府病院のエボラ治療病棟で働きたいと転任を希望した。シェパード病院の院長は、プーリー氏がリスクを承知の上で、転任を決意したと語る。
「彼は英雄だと思う」と彼は言う。「その病院の医療従事者が逃げだしているのに、彼はきわめて困難な状況下で自分を犠牲にして患者をケアしたのだ」》

3月以降西アフリカで蔓延するエボラ出血熱で、これまで 2,615の感染者と1,427 人の死亡者が確認されている。
エボラ出血熱が報告されたのは1976年。その後、感染者が出てはおさまりというのを10回ほど繰り返し、2012年末まで合計1590人が亡くなったとされる。今回の西アフリカでの蔓延は、これまでの30年以上の合計の死者数を上回る勢いだ。
感染国へは航空会社が次々に運航を中止。多発地帯の学校は休校、映画館や食堂など人が集まる場所は営業停止。感染を予防するために、道路の検問を強め、人の移動を限定している。地域の社会的経済的な機能が麻痺するおそれが出ている。

住民生活も追い詰められている。
常岡さんがきょう、シエラレオネで活動するWHOの日本人スタッフ、千賀美祈子(せんがみきこ)さんからこんな話を聞いた。千賀さんはすでに8週間滞在し活動している。
「今、緊急に必要なのは、衣類、靴、古着です。
感染者やその家族は使っていた衣類を焼却処分しなけばいけないので、着るものがなくて、生活できなくなってしまい、困っています。私自身、二回目のミッションの今回は、自宅から使っていない服を持ってきて、患者さんにあげたほどなのです。日本のNGOなどが協力してもらえないものでしょうか?」
エボラ多発地帯で、服や靴が緊急に必要だとは意外だ。
こういう情報も、現地で取材してはじめて分かることだ。

現地の状況がもっと報じられ、国際社会の支援が強められるよう願う。