愛国教育を拒否する香港

takase222012-09-17

きょうの朝日歌壇。
来年もこのワンピース着たいから私あんまり大きくなれない                   松田わこ(佐佐木、馬場選)
室文子さんも入選。
山の家ゆっくり食べる朝食はくこの実はと麦入ったおかゆ             室 文子(佐佐木、永田選)
雨あがりきらり光がこぼれてる雲のわれめが天への入り口             室 文子(高野選)
「天への入り口」か。On a clear day You can see forever (晴れた日は永遠が見える)という歌があるが、たしかに、青い空や白い雲を見ていると、異次元に吸い込まれるような気がすることがある。文子さん、2首入選でがんばってるね。
今の情勢を反映した歌も。
竹島のあたりを泳いだかも知れぬ魚に醤油とすだちかけて喰う             (神戸市 北野 中)
日本地図とりだし聢(しか)と慥(たしか)むる魚釣島竹島の位置             (日向市 小谷敦司)
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きのうの続き。
香港では「国民教育科」導入反対の運動が広がり、7月29日には9万人の大規模なデモが行われていた。写真はニューズウィークに載ったものだが、大人だけでなく、高校生やもっと小さい子どももたちまで参加していた。
きっかけになったのは、政府の助成を受けた国民教育センターが、今春発行した指導指針のハンドブック。
そこには、中国共産党を「進歩的で、私心を捨てて団結した執政集団」と評価し、複数政党の体制を「政党の争いが政治に害をもたらす」と批判していた。
共産党一党独裁を称賛する内容に、民主派を中心とする市民の間で「香港を中国化するための『洗脳教育』だ」と反発が拡大。すぐさま、香港の小学校の三分の一にあたる百五十校が、今年9月からの導入は見送ると決定。7月29日には市民9万人(主催者発表)が抗議デモを展開した。
 9月に入ると、9日投票の立法会議員選挙に向けて、市民らは連日、香港政庁舎前に座り込んで抗議を続けた。7日には12万人(主催者発表)が参加。親中派への逆風は日増しに強まり、投票前日、計画撤回に至った》
で、これが争点となった選挙の結果はというと。
《九日に投票が行われた香港の立法会(議会、定数七〇)議員選挙は十日、開票作業が進められ、民主派は重要法案を否決できる三分の一以上となる二十四議席を確保した。二○一七年に直接選挙へと移行する行政長官(香港トップ)選挙改革など重要課題に向け、一定の発言力を確保した。
 民主派は、中選挙区の直接枠(三十五議席)で十八議席を、職能別の間接枠(同)でも教育界や法律界など少なくとも六議席を確保。間接枠は十日午後も開票作業が進んでおり、さらに数議席の上積みがあるとみられる。
 中国人としての愛国心を育てる「国民教育科」導入が議論を巻き起こす中での投票だったため、直接枠の投票率は前回を8ポイント上回る53%だった。強い逆風を受けていた親中派は、投票直前に引き締めを図り、過半数を確保した上で議席を前回より伸ばす勢い。
 今回の当選議員は、選挙改革など一国二制度の今後を左右する重要課題を議論するため、民主派が議席の三分の一以上を維持できるかどうかに注目が集まっていた》(東京新聞 10日夕刊)
共産党独裁への疑問をはっきりと示した香港の運動が、大陸での反権力の動きと連携する可能性もある。香港でのデモを取材した友人によれば、大陸の活動家が相当数参加していたという。
中国の脅威に向き合う上で、こうした「矛盾」を分析することは非常に重要だと思う。今後に注目したい。