草木染タオルに生きるカンボジアの伝統技法

takase222012-09-14

もう金曜日か。1週間がはやいなあ。
11日火曜日の「ガイアの夜明け」を観ていたら、無印良品が、オーガニックコットンに草木染のタオルを製造する苦労話をしていた。
色落ちしやすい草木染の色を定着させる技術を教えるのが、カンボジアに住む伝説の草木染の職人・・・とナレーションを聞いて、「ああ、きっと彼だな」と思った。案の定、出てきたのは、森本喜久男さんだ。
なつかしい。
もともとは京都に工房を持つ友禅職人だった。1980年タイのスラムを訪問。その後、日本の国際ボランティア団体の草分けであるJVC(日本国際ボランティアセンター)のボランティアになった(と記憶している)。84年には独自にタイの農村で手織物プロジェクトを手掛け、88年には「バイマイ」という店を出して、草木染のシルク商品を製造・販売しはじめた。
もう20年以上前に買ったシルクのシャツを今も持っている。たしかアーモンドで染めた茶色のシャツで、洗濯すると少しづつくすんでいい色になっていった。
95年からは拠点をカンボジアに移し、IKTT(クメール伝統織物研究所)を主宰。ポルポト時代に職人が殺されたりしたこともあって、消えかかっていた伝統織物を復活させる仕事をしている。今では、広大な織物の村が形成されているという。http://iktt.esprit-libre.org/
私はタイで84年に知り合い仲良くしていただいた。もう28年もたつのか。当時は二人とも独身でよくつるんでいた。一緒に飲みに行ったり、休暇に海辺に旅行したり楽しい時間をすごした。夜行バスで、森本さんがプロジェクトを持っていたタイの田舎にも行って、農家に民泊させてもらった。
森本さんは1948年生まれだからもう64歳くらいか。昔は冗談ばかり言う遊び人だったのだが、テレビには、渋い草木染の衣をまとって、禅僧みたいな風格で登場していた。
草木染タオルの大量生産は画期的なことらしい。ここに森本さんが復興に寄与したカンボジアの伝統技法が生かされて日本の市場に出回るのである。いい話だ。これからの日本人の生きかたについても考えさせられる。
いま、産業空洞化のなか、技術を持った日本人が海外に行くというと、ライバル企業にヘッドハンティングされる話ばかりだが、そんななか、森本さんのように、アジアの田舎の人たちが自分たちの伝統に誇りを持つようになり、暮らしが豊かになっていくことに貢献する仕事はもっと知られていいと思う。
いま、IKTTの日本向けサイトを見たら、22日と23日には有楽町の無印良品で講演会がある。もう10年近くあってないので、都合つけて聞きに行こうと思う。http://ikttjapan.blogspot.jp/
無印良品の草木染タオルは650円で一部で発売が開始された。講演会のついでに買ってこよう。
ガイアの夜明け」は明日15日(土)の20時から、BSジャパンで再放送されるので、興味のある方はどうぞ。