リビアの首都トリポリが、欧米の強力な後押しで、反カダフィ勢力の手に落ちたのが8月の20−22日。もう1ヶ月半経つのに、まだ新政権の樹立もない。反カダフィ勢力の中での利害調整ができないためだと報じられている。前途多難だ。
姿を消したカダフィの行方を報じる記事に、ガダミスという地名が出てきた。
《リビア西部ガダミスに25日、かつての最高指導者カダフィ大佐に忠誠を誓う勢力による攻撃があり、防衛にあたる反カダフィ派部隊が撃退した。フランス通信(AFP)によると、この戦闘で同派兵士5人が死亡した。
ガダミスは、大佐の親族らや旧政権関係者が相次いで脱出しているアルジェリアやチュニジアの国境に近く、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産にも登録されているオアシス都市。カダフィ派が国外脱出のルートを確保するため攻撃を仕掛けた可能性がある》(25日産経)
つまりガダミスは反カダフィ派の支配下にあり、それをカダフィ派が攻撃したことになる。一方、こんな記事も。
《リビアで新政権作りを目指す国民評議会の幹部はロイター通信に、行方をくらましているカダフィ氏について、首都トリポリの南西約500キロのガダミスにいるとの情報があると語った。同通信が28日報じた。
ガダミスはアルジェリア・チュニジア国境に近い砂漠地帯にある。この幹部はカダフィ氏が遊牧民トゥアレグ族の保護を受けている可能性にも言及したという》(29日朝日)
この記事は、ガダミスにカダフィがいると報じ、そこはカダフィ派の勢力圏だということになる。どちらが本当なのか。
このガダミスという町には07年に訪問したことがある。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20070904
かつて「砂漠の真珠」と呼ばれた古いオアシスだ。
旧市街は城壁で囲まれ、町全体が外から見ると白くみえる。家の建築材料は日干しレンガで石灰を縫ってある。2階建ての住居がつながっていて屋上は共用。その上を歩いて遠くの家まで行ける。
さらに面白いのは、暑さを遮るため、通路が家壁に囲まれて洞窟のようになっていること。薄暗くひんやりしている。
あの迷路のような通路をカダフィが歩いているのだろうか。
砂漠のど真ん中にぽつんとある町だから、カダフィ勢力があそこにいたら一網打尽になるはずだが。
はやく次の体制が明らかになって、落ち着いて国づくりをする環境ができるよう祈りたい。
ところで、3日の朝日歌壇にまたまた梨子・わこ姉妹が入選している。
汗よりも涙はゆっくり落ちてゆく閉会式が終わった砂に 松田梨子
引っぱって引っぱってでも引っぱられ綱も決心できないみたい 松田わこ
いいね。
ところで、松田姉妹は私などが興味を持つずっと前から活躍していたらしい。
去年10月25日の「朝日歌壇」に載っている短歌;
鰯雲光る日曜子を誘いセーラー服の採寸に行く 松田由紀子
大好きな水着しまって気がついた中学校にプールないんだ 松田梨子
由紀子さんが母親で、歌詠み母娘として注目されていたようだ。
さらにさかのぼって9月6日。
泣き虫でけっこうがんこで甘えん坊はねる音符のような妹 松田梨子
ねえちゃんは今日から合宿メロンパン2こ食べちゃったなのにさみしい 松田わこ
この姉妹、とても仲良しでほほえましい。
去年6月14日。
逃げ出して三日目の朝見つかったカメ吉聞かせて冒険日記 松田梨子
雨の子は円を書くのが得意だねポツポツポツリ学校の池 松田わこ
その前の4月26日。
咲こうかなそれとも明日咲こうかな塾の帰りに桜の会話 松田梨子
始業式今日から私三年生カッパ卒業オレンジのかさ 松田わこ
わこさんはこのとき8歳で3年生になった。梨子さんは3歳年上の11歳。今は9歳と12歳だろう。
「はねる音符のような妹」に対して、お姉さんの歌にときに感傷的なトーンが入ったりするのは性格の違いか、お年頃になったせいか。そんな二人の違いも、読んでいて楽しい。