カダフィの末路と北朝鮮2

takase222011-02-26

テレビで見た首都トリポリ(とされる)映像には、銃撃の音のなかを人々が逃げ惑う姿が映っていた。
事態がここまできてもカダフィは徹底抗戦を呼号する。廃棄作業が遅れている化学兵器が10トンほど残っているというから心配になる。
《反政府勢力と治安部隊との激しい衝突が続くリビアでは、首都トリポリでも双方の銃撃戦が起き、多数の死傷者が出ているもようで、各国が自国民をリビアから脱出させる動きも本格化しています。
リビアでは、反政府勢力が北東部の主要な都市を勢力下に置いたのに続き、北西部の首都トリポリにも迫る勢いを見せているのに対し、最高指導者のカダフィ大佐は支持者に徹底抗戦を呼びかけ、各地で激しい衝突が起きています。25日にはトリポリでもイスラム教の金曜日の集団礼拝のあと、市民がデモ行進を行い、これに治安部隊が銃を発砲し、双方の間で銃撃戦に発展しました。トリポリ市民はNHKの電話取材に対して、銃撃戦で女性や子どもを含む多数の市民が死傷したと話しています》(NHK)
国境からは多くの避難民が出ている。
北朝鮮体制崩壊では、多くの人々が中国国境から脱出するだろう。
今のリビアの事態は、北朝鮮の将来のシミュレーションにとても参考になる。
体制移行を目前にしたとき、国際社会(と日本)がどう対応すればよいのかの教訓になる。
《国連安全保障理事会の英仏両国などは二十五日、反体制派市民への武力弾圧を続けるリビアカダフィ政権に対し、武器禁輸や資産凍結などを盛り込んだ制裁決議案を全理事国に配布した。早ければ二十六日(日本時間二十七日午前)にも採択される見通し。
 本紙が入手した決議案は六ページで、市民への武力行使を非難し、暴力の即時停止を要求。人道に対する罪で国際刑事裁判所(ICC)へ付託することや、カダフィ氏とその一族、側近ら二十二人に対する渡航禁止、資産凍結も盛り込んでいる。
 国連の潘基文(バンキムン)事務総長は二十五日、リビア情勢を安保理に報告。推定千人以上が殺害され、少なくとも三万七千人の難民が隣国のチュニジア、エジプトに流れているなどとして、安保理に早期の「具体的行動」を求めた。
 同日の会合では、カダフィ氏の五十年来の友人であるリビアのシャルガム国連大使が「カダフィよ、国民に手を出すな」と演説。「リビアを助けてほしい。無実の人々の殺りくを止めてほしい」と目を潤ませて訴え、安保理に制裁決議の早期採択を求めた。
 安保理国連大使が自国の最高指導者に事実上の決別宣言をするのは極めて異例。フランスのアロー国連大使は「歴史的瞬間だ」と強調した。決議案については、ICC付託をめぐり内政干渉に慎重な中国がどう出るか不透明な部分もあるが、アロー大使は「ロシアも大筋で合意している」と述べ、二十六日中の採択に期待を示した。
 一方、国連人権理事会は二十五日、ジュネーブの国連欧州本部で、リビアの理事国資格停止を国連総会に勧告する決議案を全会一致で採択した》(東京新聞
ついに盟友の国連大使まで離反した。こういう場合は、国際社会が一気に強い圧力をかけたほうが、幹部の寝返りを促進して、むしろ円滑で犠牲の少ない体制移行につながりそうだ。
注目したいのは、人道に対する罪での国際刑事裁判所(ICC)への付託だ。
かねがね、金正日をICCで裁きたいと思ってきた。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20071214
そのためには、安保理決議で付託するという方法が最も有力とされている。
さて、中国がどう出るのか。
そして、わが日本の対応も試されている。