避難所に間仕切りを

takase222011-04-14

避難所に独自の間仕切りシステムを提案している建築家がいる。
世界に名を知られた坂茂(ばんしげる)さんだ。
《長期化する避難所生活で少しでもプライバシーを保って生活してもらおうと、避難所になっている山形市落合町の市総合スポーツセンターで3日、東京の建築家らが間仕切りを設けた。
 間仕切りは、2メートルの紙製の筒で骨組みを作り、布製のカーテンをつけて居住空間を作る。建築家坂(ばん)茂さん(53)が阪神大震災での支援をきっかけに考案した。震災前から坂さんと親交があった、山形市の建築会社「シェルター」が材料を提供し、ボランティアの東北芸工大と慶応大の学生30人が希望者用に設置した。
 避難者の希望に合わせて間仕切りの大きさは調整できる。避難者らは「自分の空間ができて、着替えや授乳の時に助かる」「少しは落ち着いて眠れそう」などと喜んでいた。
 東日本大震災後、宇都宮市新潟県長岡市などの避難所でも間仕切りを設置しており、4日は岩手県大槌町の避難所にも提供するという。設置の問い合わせは坂茂事務所(03・3324・6760)、ホームページアドレスは(http://www.shigerubanarchitects.com/)まで》 (4日、朝日新聞山形版)
去年3月末、私たちは、坂さんを毎日放送情熱大陸」で主人公として紹介した。坂さんはボランティアとして被災地の救援を行っていて、去年は大地震にみまわれたハイチにも出向いて仮設住宅を建てている。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20100329
東日本大震災で、たくさんの被災者が避難所生活を余儀なくされているが、身体の不自由なお年寄のおむつ交換や毎日の着替えなど、日常のいろんな局面で、遮られた空間がほしくなる。プライバシーがないことで、すでに大変なストレスがかかっていることだろう。
だが、今回、仮設住宅を用意することは容易でない。となれば、体育館などの避難所での暮らしが相当長くなりそうだ。
坂さんは、阪神大震災のときから間仕切りシステムを考案し、提供してきたが、改良を重ね今は第4モデルに進化している。柱は紙管(しかん)だ。
坂さんは紙管を現代建築に使うことで知られており、坂さん設計で去年完成したフランスの現代美術の殿堂、ポンピドゥーセンターの分館の一部にも使われている。
紙管とは、トイレットペーパーやサランラップの厚紙の芯の部分がそうで、仮設住宅や間仕切りにはもちろんもっと大きな長いものを使う。
世界中どこでも安く手に入る。万が一、余震で倒れても怪我をしない。軽くて大量に輸送でき、素人にも簡単に組み立てられる。さらに、救援施設というのは必ず不要になるときがくるが、紙管はリサイクルできる。
坂さんの紙管を使うアイディアは、国際救援団体でも高い評価を受けている。
先月末から栃木、新潟、山形、岩手の各県をまわり、被災者の前で実際にシステムを組み立てて披露したところ、大きな反響があった。4月に入って学生と一緒に注文のあった避難所を回って提供し、とても喜ばれている。
この活動については弊社が取材し、明日の「毎日放送」の夕方ニュースを皮切りに各地のニュースで紹介されることになっている。こういうすぐに役に立つ情報を早く広めたいものだ。
坂さんの事務所では募金をつのっている。よろしければお願いします。