テレビに夢を託せるのか2

takase222011-01-12

いまは凋落のメディアともいえるテレビだが、日本で放送がはじまって間もなくのころの雰囲気はとてつもなく前向きだったようだ。
黒柳徹子が去年こんな文章を朝日新聞に載せている。
《勢いで飛び込んだ創生期のテレビの世界ですけれど、その頃、アメリカからテレビのあらゆることを教えに来てくれたNBCの人がいたのですね。その人は「テレビは世の中を変える力を持っている。良くするのも悪くするのもテレビにかかっている。だからそう考えて取り組んでいってもらいたい。世界で今起こっている戦争も、遠い山の中で結婚している幸せな姿も映し出せる。うまく使えば、テレビで永久の平和を得ることができるのだ」と。
 この言葉を私はしっかりと心の中にしまいました。テレビにそういう力があるのなら、きちんとやらなくてはならない。今では、テレビにはいろいろな功罪があると言われるけれど、でも私は最初から自分がかかわる番組は「世界を良く変える」という基本が揺らがないようにしたかった》
(4月11日朝日求人、仕事力)
そこで、彼女は、「徹子の部屋」を始めた35年前、演じるのは舞台だけにし、テレビのドラマ出演をすべて辞退する。テレビで芸者さんや悪女の役をやったら、視聴者が誤解すると思ったからだ。
タマネギ型の髪や顔の化粧は決して変えないのも、視聴者の注意を自分に向けずにゲストに集中してほしいからだという。そのため、さらに、太ったり痩せたりもしないようにし、機嫌の良し悪しなど感情の変化もないようにつとめたそうだ。
「テレビで永久の平和を得ることができる」
ここまでテレビの可能性を信じることができたなんて・・・
黒柳徹子という人は、その並外れた素直さに、創生期のテレビの明るさをそのまま閉じ込めた「化石」なのかもしれない。
テレビ制作会社の連合体ATPは、数年前から「TVルネッサンス」のスローガンを掲げているが、私もそのルネッサンスに貢献したいと思っている。