日本共産党が尖閣で主張

尖閣列島での中国の対応には、中国に警戒心を持っていたつもりの私も、あそこまでやるのかと驚いた。
しかし、考えてみれば中国にとっては、これまでも繰り返してきた、当然の行為なのだ。
私が東南アジアに常駐していたころ、ベトナムやフィリピンが占拠していた西沙諸島南沙諸島の島を、中国が軍事力で、次々に取っていった。88年には、ベトナム海軍を武力でねじ伏せて島を取ったことまであった。いま尖閣にやろうとしているのは、あれと同じことなのだろう。
日本中に衝撃を与えた今回の事件で、初めて領土問題に目覚めて、ちゃんと勉強しようと思った人も多いだろう。
今朝の「赤旗」には尖閣問題の大論文が載っていた。4日、日本共産党の志位委員長が記者会見で発表した「尖閣諸島問題 日本の領有は歴史的にも国際法上も正当―日本政府は堂々とその大義を主張すべき」で、とてもよくまとまっている。学校の教材にできるほどだ。http://www.jcp.or.jp/seisaku/2010/20101004_senkaku_rekisii_kokusaihou.html

その論文の最後で、日本政府の対応をこう批判している。
尖閣諸島にたいする日本の領有権は、歴史的にも国際法上も明確な根拠があり、中国側の主張には正当性がない。(略)
 尖閣諸島をめぐる紛争問題を解決するために、何よりも重要なことは、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国政府にたいして、理を尽くして主張することである。
 この点で、歴代の日本政府の態度には、1972年の日中国交正常化以来、本腰を入れて日本の領有の正当性を主張してこなかったという弱点がある。
 領土画定を明確にするよい機会であった1978年の日中平和友好条約締結の際に、中国のトウ小平副首相が尖閣諸島の領有問題の「一時棚上げ」を唱えたが、日本側は、日本の領有権を明確な形では主張しなかった。それは、尖閣諸島の領有権が日本にあることについて中国側に確認を申し出ることは「全く要らざることである」(福田首相衆院外務委員会答弁、1978年10月16日)という立場からの態度だった。
 1992年に中国が「領海および接続水域法」を採択し、尖閣諸島を自国領と明記した際には、外務省が口頭で抗議しただけで、政府としての本腰を入れた政治的・外交的対応はなかった。
 今回の事件でも、民主党政権は「国内法、司法で対処する」というだけで、肝心の外交的主張を怠ってきた。
 このように長期にわたって積極的主張を回避してきたことについて、わが党の議員の質問に閣僚から「中国や国際社会に対して日本の立場を発信してきたかどうかについては、大いに反省するところがある」(9月30日衆院予算委員会)との答弁がなされている。
 わが党は、日本政府に、こうした態度をあらため、歴史的事実、国際法の道理にそくして、尖閣諸島の領有の正当性を、国際社会と中国政府に堂々と主張する外交努力を強めることを求める》
正論である。共産党は中国大使館に申し入れを行うという。自民党公明党みんなの党、なにより民主党!政党として中国大使館に抗議、申し入れに行ったのか?共産党に先を越されていいのか?
ともあれ、尖閣問題では、ほぼ右も左もない形で合意が形成されている。
一方、千島・北方四島については、かなりの見解の差がある。面白いのは共産党
四島ではなく北千島を含む千島全島を返せと主張しているのだ。
(つづく)