こんにちは―隠された二つのこと

もしあなたがアメリカで、くしゃみをしたとする。
そこが地下鉄の中であれ、スーパーで買い物中であれ、ホテルのロビーであれ、半径3メートル内に誰か人がいれば、間髪を入れずにあなたにこう声をかけるはずだ。
“GOD BLESS YOU! ” (神のご加護がありますように)
日本語に訳せば「お大事に」くらいの決まり文句だが、はじめは、くしゃみをすれば必ず声をかけてくれるアメリカ人は、なんて親切なんだろうと感心したものだ。世界にはこういう日本には全くない声かけ=挨拶も存在する。
一方、家の出入りの挨拶―「行ってきます」、「行ってらっしゃい」、「ただいま」、「おかえり」や食事のさいの挨拶―「いただきます」、「ごちそうさま」、「おそまつさま」などは、私が知る限り日本独特の挨拶だ。食事の前に「アーメン」と祈りをささげることは他国で見かけても、日本の、大きな声でいっせいに「いただきまーす」というのはユニークな挨拶習慣である。
総じて、日本語は伝統的に挨拶体系が非常に発達した言語だと思う。
戦国時代の合戦での「やあやあ、我こそは・・・」の名乗りや、ヤクザ同士の「おひかえなすって」もあるし・・。
先日、このブログでよく名前が登場する岡野守也先生から、「こんにちは」という挨拶の解釈を聞いた。娘に話してやったら「いい話だね、友達にも教えてあげよう」とかなりうけたので、披露しよう。(元の話からデフォルメされていると思うが)
「今日は」という挨拶には、二つのことが省略されている。それは何だ?
一つは「良い日」だということだね。「今日は、良い日ですね」。これは分るね。
では、もう一つ隠されているのは何だ?
それは「あなたと私にとって」ということ。自分一人にとって、ではなく、あなたと私。
「今日は、あなたと私の両方にとって、良い日ですね」というわけだ。
お互いが、つながりを確認しあい、きょうも生きている幸運を喜ぶんだね。
「今日は」と挨拶するとき、こういう思いを込めて言ってごらん。
とても気分がさわやかになると思うよ。