きのうの朝日新聞朝刊1面の見出しに愕然となった。
「自民過半数大幅超『よかった』47%」
自民過半数超えの理由は「自公の連立政権が評価されたから」が19%で、「野党に期待できないから」が65%に達したという。自民支持層の69%はうなづけるとして、立憲支持層の70%もが「野党に期待できないから」と答えているのには驚いた。
維新が第3党に躍進した理由については「維新への期待から」が50%、「ほかの政党に期待できないから」が46%だった。
来夏の参院選で、野党が候補者の一本化を「進めるべきだ」は27%、「そうは思わない」が51%。立憲と共産が安全保障政策などで主張の異なるまま、選挙協力することには「問題だ」が54%も!「そうは思わない」31%を上回った。立憲支持層で「問題だ」と答えたのが58%に上ったのも意外だった。
維新の政党支持率が前回(10月19,20日)の3%から急増して9%と立憲に並んだが、これは「勝ち馬」に乗ったからか?
困ったものだが、しかしこれが日本の現実だ。世の中とは思いどおりにいかないものだ。
もし立憲が今後の方針をめぐって分裂でもしたら、すぐに維新が第2党になってしまい、立憲は消滅の危機に直面するだろう。
立憲の代表選は、ほんとうの正念場になる。
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先週土曜(6日)のTBS「報道特集」で、ネオニコ系農薬の「人への影響」について特集していた。内容の濃い、説得力のある、そして怖い特集だった。
島根県の宍道湖(しんじこ)は汽水湖としては全国3位の広さをもち、特産のシジミで知られるが、30年前まではワカサギとウナギも豊富に生息していたという。ところが1993年を境にパッタリ撮れなくなった。
ウナギの減少は、シラスウナギ(稚魚)が減ったからだという人がいるが、それでは93年という節目が説明できないという。山室真澄氏(東大教授)はこの謎に取り組み、原因がネオニコ系農薬にあると突き止めた。
ネオニコとは「ネオニコチノイド」の略で、ニコチンに似た、虫の神経をマヒさせて殺す作用を持つ。あらゆる植物に広がり(浸透性)、残効性が高いので、農家にとっては散布回数が少なくて済むメリットがあるという。田んぼのカメムシやウンカの駆除に欠かせない。
日本では7種のネオニコ系農薬が92年に認可され、翌年から全国で使用が始まり、今ではもっとも使われる農薬になっている。
当初、ネオニコは魚には影響を与えないとされていたのに、なぜ宍道湖でワカサギやウナギが激減したのか。問題は魚のエサだという。
ワカサギが食べる動物プランクトンがいなくなっているのだ。またウナギは、昆虫や動物プランクトン、エビ、カニなど節足動物をエサにしているが、これらがネオニコでやられているという。
山室さんの研究から、トンボが93年から姿を消した理由もネオニコにあったと推測される。
また、ネオニコは10年ほど前から、ミツバチの大量失踪の原因として注目されてきた。
2013年、山田敏郎氏(金沢大名誉教授)の実験で、低濃度のネオニコでもミツバチが巣に帰れなくなって群れが小さくなり、やがて群れ自体がなくなることが明らかになった。
農水省はこの年から、農家や養蜂家に、農薬散布の際は「気を付けるよう」呼びかけているが、被害報告はいまも年間50件ほど寄せられている。問題になったあとも7種のネオニコは使用され続けている。
そして今、ネオニコが人にも影響を与えるのではないかという懸念が出てきている。
星信彦氏(神戸大大学院教授)の実験では、無毒性量(これ以下ならあらゆる動物実験で異常が見られないと国が定めた量)のネオニコを投与したマウスに明かな行動異常が見られた。投与マウスは、通常のマウスに比べて、動作が緩慢で、不安が強いのか行動範囲が狭くなっていた。「無毒性量自体を変えなくては」と星氏はいう。
ヒトへの毒性は調べられておらず、国の規制はもっと厳しくあるべきだと警鐘を鳴らすのが木村―黒田純子氏(脳神経科学情報センター副代表)だ。木村氏の2012年の論文は海外にも影響を与えた。
子どものラットの脳にニコチンと2種のネオニコを注入した結果、いずれも神経細胞が興奮する反応が見られた。農薬会社は、哺乳類にはネオニコは効かないと言っていたが、実験ではニコチン同様、ネオニコも効いていた。これはあくまでラットでの実験だが、人間の子どもの脳の成長に影響するのではないかと木村氏は警告する。
さらに木村氏は、広汎性発達障害や自閉症の発症率が増えていることとの関連も疑っている。農地面積当たりの農薬使用量が突出して多い日本と韓国だが、有病率と相関関係が見られたという。
この論文にも触発されて、EUではネオニコ系で登録された5種の農薬への規制強化に踏み切った。因果関係が証明されなくとも、疑わしきは禁止や規制をする「予防原則」である。
さらにニコチンはすぐに排泄されるのに対して、ネオニコは少しづつ吸収しても蓄積してだんだん体内濃度が上がっていくとの指摘もある。
番組の取材に対して、農水省は「使用方法を誤らなければ問題ない」と、農薬メーカーでつくる農薬工業会は「国際的なガイドラインにもとづきヒトへの安全性を確認している」と回答したという。
明るい話としては、ネオニコを使わないと宣言した地域があること。
絶滅したトキの復活を進める佐渡では、2008年から人工繁殖したトキを放鳥し始めたがなかなか野生での繁殖がうまくいかない。そこで一部の農家からJAに農薬を使用しないことを提言し2011年にJAも規制を決め有機農業に転換した。
その翌年、放鳥したトキの野生の孵化に成功。2016年には「純野生」の両親からのひなの誕生が確認された。今では480羽のトキが佐渡の空を飛ぶ。田んぼにはドジョウをはじめトキのエサになる多くの生き物が戻ったという。
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私たちが佐渡トキ保護センターの獣医、金子良則さんを「情熱大陸」で取材したのが2011年。その年は残念ながら野生での繁殖には失敗したが、そのころから全島あげての取り組みがはじまった。
https://takase.hatenablog.jp/entry/20160426
トキが佐渡の農業を変えたのだ。
こんどから佐渡の米を食べよう。
有機農業をめざす動きが広まることと国の迅速な規制強化をのぞむ。
この特集は14日まで無料で見られるので、関心のある方はぜひ。