週末は都内の編集スタジオで、動画作品の仕上げ作業をしていた。
私はなりわいの一つとして「自分史ビデオ」の制作をしている。注文主の人生を映像化するもので、今月末までに、ある中国地方のクライアントに納品しなければならない。今回はドローン撮影や再現ドラマ撮影も行なった「大作」で、ナレーションは『情熱大陸』の窪田等さんにお願いした。
編集スタジオを使うのは、会社倒産後はじめてで、窪田さんとは一昨年6月の『情熱大陸』(ラフテイング阿部雅代)以来、2年ぶり。いつもながらの入魂の読みに聞きほれた。
窪田さんが、「youtubeのチャンネルで日本文学の朗読をアップしている」というのでのぞいてみた。
毎週1本、読み上げているという。これは社会貢献だそうだ。お忙しいなか立派だな。こんどゆっくり聞かせてもらいます。
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畑に行くのをさぼっていたら、大根が巨大化していた。
葉を除いて70~80cmほどありそうだ。食べてみたが、中がスカスカでうまくない。採れ過ぎたので近所におすそ分けしたが、失敗だったか。
今の時期、植物の育つスピードがとてもはやい。さぼらないで食べごろに収穫しよう。
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22日のZOOMイベント「焚き火のある風人塾」は、「気づきの宇宙史138億年」の6回目、最終回だった。つながって、つながって、限りなくつながりあってひとつ、という「つながりコスモロジー」をまとめてお話した。その中から、イベント参加者におもしろがってもらったパートを一つ紹介したい。
ウンチは何でできているか?
多くの人は、「食べ物のカス」と答えるのではないか。しかし、それはウンチの固形成分の3分の1にすぎない。では、残りの3分の2は何か。
小腸などの消化管から脱落した細胞が3分の1。そしてあとの3分の1は、腸内細菌の死骸(生きているのもある)だという。いま、善玉、悪玉とかまびすしいアレである。
ヒトは、大腸の中だけで1000種、600兆から1000兆ものバクテリアを棲まわせており、直径1ミクロンとして、一列に並べると地球を15周から25周する長さになる。
彼らは、私たちの食べ物を分解して、腸管粘膜から栄養素として取り込める形にする作業を一手に引き受けている。このプロセスがあってはじめて、ヒトは栄養を吸収することができるのだ。
この事実を知ったのは、このあいだ紹介した永田和宏さんの『生命の内と外』(新潮選書2017)を読んだから。
私たちは、ものを食べて養分を摂り、必要な細胞やエネルギーを生産し、不要になったものを排出するという、生物にとって最も基本である「代謝」を自分では行なえない。たくさんの他の生き物の力を借りなければならないのだ。
これを、「私とい存在は、つながりのなかで、私ではないものによって私として生きることができる」という「つながりコスモロジー」の原則を説明するさいの例にした。
私たちは、腸内細菌に棲んでいただいているわけであり、彼らのおかげではじめて生きていくことができる。
哲学者の西田幾多郎は「自己は自己ならざるものによって自己であることができる」とかっこいい言葉を遺している。(ちょっと違った文脈だが)
地球の生態系の中で、ヒトはその一部として生き、他の数えきれない他の生命と共存し支えられてはじめて生きることができる。腸内細菌の存在はそのことをあらためて教えている。