希望と民進 どっちがどっちを食うのか


 毎朝、お茶の水駅からニコライ聖堂の側を通ってオフィスへと向かう。この本郷通りには銀杏並木がある。きょう、異臭がすると思ったら、潰れた銀杏の実が足元に転がっていた。まだ葉は色づいていないが、根元に落ちた黄色い粒が秋の訪れを強くアピールしている。
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 きょうの民進党両院総会で、前原誠司代表が「希望の党」への合流を提案して満場一致で決まったという。実はきょうは21年前、民主党の結党大会が開かれた日だったという。
 民進党が事実上、小池新党に呑みこまれる方針が大きな反対なしに決まったのは驚きだった。
 前原誠司代表が両院議員総会で提案した「総選挙の対応について」の全文は次の通り。
 一、今回の総選挙における民進党の公認内定は取り消す。
 二、民進党の立候補予定者は「希望の党」に公認を申請することとし、「希望の党」との交渉および当分の間の党務については代表に一任する。
 三、民進党は今回の総選挙に候補者を擁立せず、「希望の党」を全力で支援する。

 前原氏は、きょう「党員・サポーター、そして国民の皆様へ」として以下、訴えている。
《(略)私は民進党に誇りと愛着を持っています。これまで築いてきた政策に自信を持っています。今回の判断はこれらを曲げるものではなく、さらなる力を得て、民進党の目指す社会を実現する第一歩です。二大政党制を確立し、政権交代を通じて理想の社会を創るための土台強化です。「希望の党」とは理念や基本的政策の方向性については一致をしています。今後、選挙に向けてさらに政策を具体化する中で、国民の皆様の理解と信頼を得ていきたいと考えています。》

 前原氏が「理念や基本的政策の方向性」が一致するという希望の党の綱領(27日発表)はこうだ。

 我が党は、立憲主義と民主主義に立脚し、次の理念に基づき党の運営を行う。常に未来を見据え、そこを起点に今、この時、何をすべきかを発想するものとする。
 1 我が国を含め世界で深刻化する社会の分断を包摂する、寛容な改革保守政党を目指す。
 2 国民の知る権利を守るため情報公開を徹底し、国政の奥深いところにはびこる「しがらみ政治」から脱却する。
 3 国民の生命・自由・財産を守り抜き、国民が希望と活力を持って暮らせる生活基盤を築き上げることを基本責務とする。
 4 平和主義のもと、現実的な外交・安全保障政策を展開する。
 5 税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)の徹底、民間のイノベーションの最大活用を図り、持続可能な社会基盤の構築を目指す。
 6 国民が多様な人生を送ることのできる社会を実現する。若者が希望を持ち、高齢者の健康長寿を促進し、女性も男性も活躍できる社会づくりに注力する。

 「しがらみ政治」からの脱却だって?ワイズ・スペンディング?・・ほとんど無内容ではないか。これが本当に民進党の「基本的政策の方向性」と同じなのか。
 関東大震災時の朝鮮人虐殺を認めない小池氏。そのオメガネにかなわなければ希望の候補として公認されないとなれば、衆議院民進党のリベラル勢力は消滅することになる。公認候補は、民進党の金と組織を使って選挙戦を戦い、当選すればそのまま希望の党が抱えこむわけだから、小池氏としてはおいしい。
 じゃ、民進党は解散したらいい、と思うが、そうしない。それは、解散したら政党助成法33条2項3号4号で政党交付金の返還を命じられるからだという。(「当該政党が解散をし、又は目的の変更その他により政治団体でなくなった場合」)「党としての実体が事実上消滅していても形式上民進党参議院議員が残れば返還をしなくてもよい。政党助成金は国民の税金が原資なのでこういう背信的なことはやめてもらいたい。」との意見がツイッターで出ていた。なるほど。https://twitter.com/kamatatylaw/status/913284775208566785

 このままでは民進党がジリ貧になって勝機が見いだせないと追い詰められた前原氏が打った大博打。どっちがどっちに利用されるのか。私にはもう結果は見えているように思えるのだが。