駆け付け警護付与ありき

    
 写真は海住山寺(かいじゅうせんじ)。奈良に近い京都府木津川市の山の上にあるお寺で、観光客も少なく、静かな時間を持てた。
 http://www.kaijyusenji.jp/
 なぜここに来たかというと、もと法相宗(ほっそうしゅう)のお寺だったことと、非常に強い「気」が漂う、いま流行の言葉でいうとパワースポットだと聞いたからだ。
 「気」には鈍感なのでよく分からなかったが、寺の入り口近くで、私の足元を蛇が横切って行った。これは何かありそう・・と嬉しくなる。
 【「気」を感じようとしてみる】
 【国宝五重塔
 法相宗は奈良仏教最古の、ということはすなわち日本最古の宗派で(これより早く日本に入ってきた三論宗は消滅した)総本山は興福寺薬師寺清水寺北法相宗、また法隆寺聖徳宗として独立したが、もとは法相宗だ。由緒あるお寺ばかりである。
 玄奘の弟子の慈恩大師基が開いた宗派で、教義の中心は唯識。深いのだ。海住山寺恭仁京跡を見下ろす山の上にあるが、法相宗の寺として恭仁京造宮にさきだつ天平七年(735)に創建されたというから、非常に古い歴史がある。(今は真言宗に変っている)
 古き良き日本を味わいたい人には、ここはお勧めです。
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 政府は、自衛隊の部隊派遣5日前に駆けつけ警護の任務付与を決めた。
 《政府は十五日午前の閣議で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊に、安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」の新任務を付与する実施計画の変更を決定した。閣議に先立つ国家安全保障会議(日本版NSC)では、同じく新任務の「宿営地の共同防護」を付与する方針も確認した。稲田朋美防衛相は、十二月十二日から実際に駆け付け警護の実施が可能となることも明らかにした。実施に必要な指揮権を切り替える派遣命令を今月十八日に出す方針。二十日から順次派遣される陸自第九師団(青森市)を中心とする交代部隊が新任務を担う》(東京新聞

 閣議のあと、稲田防衛相は満面の笑みで記者団に囲まれていた。NHKニュースの1分23秒あたりを見てほしい。一瞬で画面が切り替わるが、嬉しそうな笑顔が映像に残っている。笑ってコメントするような話なのか。この人が防衛相というのが解せない。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161115/k10010769301000.html

 このブログで書いてきたが、政府の理屈はむちゃくちゃだ。。
 「治安より『初適用』ありき」(東京新聞)、「付与ありき 要件限定」(朝日新聞)と大見出しにあるが、まさに「ありき」で、現実に目をつむっている。

 三浦英之記(朝日新聞アフリカ特派員)が再び南スーダンに入り取材を開始した。ツイッターには危機感あふれるつぶやきが・・
 「今年7月、現地では政府軍と反政府勢力との間で大規模な戦闘が起きた。実はその時、自衛隊の宿営地のすぐ隣の建築中のビルで丸2日間、激しい銃撃戦が起きていた。その現場に今日、政府軍の副報道官の案内で入った」
 「ここに反政府勢力200人が立てこもり、自動小銃やロケットランチャーでバンバン撃ち始めた。政府軍は400人と戦車で反撃。敵は弾薬を使い果たして逃げた。23人を殺し、政府軍兵士も5人死んだ」。ビルに昇って驚いた。目の前に広がったのは自衛隊宿営地の全景。宿営地のすぐ隣の建物なのだ」
 「宿営地の写真はあえて出さない。でもすぐ隣で日本国旗がはためき、自衛隊員が車に乗り込んだり、道を歩いたりしているのがはっきりと見える。副報道官は「(自衛隊)撃とうと思えばこの距離だから簡単に撃てるが、意味がない。奴らは(自衛隊宿営地のすぐ隣にある)空港を占拠するつもりだった」
 「先月ここを訪れた稲田防衛相や今月来た柴山首相補佐官は一体何を見て帰ったのだろう。何より現場の自衛官からどんな報告を受けたのか。戦闘はなかった、はずはない。まさに自衛隊の隣の建物で200人と400人が2日間もバンバン自動小銃やロケットランチャーを撃ちまくっているのだ」
 稲田防衛相は、自衛隊宿営地の直ぐそばで戦闘があったと現地で説明を受けている。これはニュース映像に残っている。いつ戦闘が勃発するか一触即発の情勢であることは分かっているはずである。停戦合意は崩壊し、政府軍が国連スタッフを襲うという事態が首都にも及んでいる実態を見ないふりしての自衛隊派遣、駆けつけ警護の任務付与である。
 「いつもは原稿が記事になった後、個人的な思いを加筆してつぶやいてきた。でも今日だけは原稿にしていないものを流す。駆けつけ警護の付与判断に間に合わないから。代わりに翌日、新聞やテレビのニュースを見てほしい。そして考えてほしい。これは自衛隊の問題じゃなく、私たち日本国民の問題だから」
https://twitter.com/miura_hideyuki