衆議院で通ったが波乱の予感

takase222015-07-16

安全保障関連法案は、衆議院本会議で可決され参議院に送られた。
各党討論。
共産党は迫力が違う。「国民のみなさん、ともに闘いつづけましょう」と国会ではなくて国民に向かってアジっていた。
公明党遠山清彦議員は声を張り上げて歴代自民党政府を讃える討論。これを見てどう思っているのか、創価学会員に聞きたい。学会員の多数が法案には疑問を持っていると聞く。

それにしても、可決直後の安倍、石破両氏のしぶい表情はどうだ。
「このままうまく進むかなあ・・」という顔だ。
実際、これから想定外の波乱もありうると思う。
ここまでくると、法案をどうするというのを越えて、安倍政権打倒にもっていくしかないが、特に、新国立競技場問題が急激に盛り上がっているのが戦線拡大になっている。
この問題は、森まゆみさんらが、2年前から国立競技場の新築ではなく、改修する方向での計画見直しをと声を上げていた。その考えには私も賛成だったが、主張はあまり国民に浸透しないように見え、今年はじめ、旧競技場は取り壊されてしまった。
ところがここ2~3週間で、この問題が一気に脚光を浴びてきた。森さんたちがあきらめずにしぶとく訴えてきた成果が、タイミングを得て、いま出てきたのだ。
国力の落ちている日本の身の丈にあったものなのか、子どもや孫の世代に莫大な負債を残していいのか、誰も責任をとらないいい加減な決め方でよかったのか・・・いったん火がつけば、かなり分かりやすい「NGプロジェクト」で、スポーツがらみだから飲み屋のサカナにもかっこうのテーマだ。
もう一つ大きなネタが出てくれば、政権は本当にがたつくだろう。「あきらめない」というのが大事だ。
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おととい、友人のジャーナリスト樫田秀樹さんから「受賞しました」との知らせがきた。
日本ジャーナリスト会議(JCJ)が優れたジャーナリズム活動に贈る今年のJCJ賞に、樫田さんの『“悪夢の超特急”リニア中央新幹線が選ばれたという。
発表はきのうだったが、その前に知らせてくれたのだった。「高世さんが出版社を紹介してくれたおかげです」と感謝された。
この本は、出版直後にここで紹介したが、この問題は非常に重要だ。日本の将来を左右する国策にかかわる。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20140927
しかし、残念ながら、まだ大きな関心を呼んでいない。
以下は、日刊ゲンダイに載った本の紹介。
《「“悪夢の超特急”リニア中央新幹線」樫田秀樹著
10月17日、国土交通省リニア中央新幹線の工事実施計画を認可した。これによって、着工はもはや確実となったと言ってよいだろう。

 品川から大阪までを1時間7分で結び、そのスピードから“夢の超特急”とうたわれるリニア。しかし、樫田秀樹著「“悪夢の超特急”リニア中央新幹線」では、リニア構想の裏側に国民生活を揺るがしかねない大きな問題が隠れていることを浮き彫りにしている。

 リニアには超電導磁石が格納され、両脇の壁に電流が流されることで反発が起こり車両が動く。このために消費される電力は、品川−大阪で74万キロワット。これは、東京電力中部電力関西電力の発電量の“わずか0・6%”と説明されてきた。しかし、ひとつの会社のたったひとつの路線が、これほどの電力を消費するのは日本最大級だと本書。そしてリニア実現のためには、原発の稼働が不可欠となる可能性が高いことについても言及している。
また、リニアの総事業費も問題だ。全長の9割がトンネルを走ることになるリニアのトンネル工費は、1キロあたり約200億円と見積もられている。しかし、これは甘い試算だ。実際、東京中央環状線のトンネル工費は1キロあたり700億円、地下鉄では300億〜500億円かかっている。革新的技術の場合、当初の見積もりの数倍の出費がかかるのが常だ。リニアの総事業費は、計画当初は3兆円といわれてきたが、90年代には5兆円に、そして最近では9兆円ともいわれている。採算が合わず経営破綻が起きた場合、税金によるシワ寄せを食うのは我々一般国民だ。

 他にも、工事による川の水枯れなどの環境破壊、電磁波による人体への影響についても詳述。スピードと引き換えに背負う問題から目をそらしてはならない。》
この機会にぜひお読みください。