日本に不名誉な「化石賞」

takase222015-06-10

日本がどんどん「遅れた国」になっていくような気配を感じさせるニュースが目に付く。
安倍内閣は「三本の矢」の三本目を成長戦略と位置づけるが、「戦略」がないから日本が力を失うことになるのではと心配だ。

きのうの朝日新聞から。

日本、成長産業の輸出で苦戦 主要国では下位 経産省分析
《日本は、世界的に需要が伸びている品目の輸出競争で苦戦を強いられている――。経済産業省が、そんな分析をしていることがわかった。7月に公表する2015年版「通商白書」に分析結果を盛り込む方針だ。
 14年の日本の輸出総額は73・1兆円で、中国、米国、ドイツに次いで4位。同白書の原案では「主要国で輸出額が増加傾向にある品目」に着目し、各国の輸出額全体に占める割合(14年)を比較。日本が4割台にとどまるのに対し、中国は89%、英国、韓国、米国、ドイツはいずれも7割台だった。
 また、数量・単価が上昇している品目が輸出額全体に占める割合も、日本は4割弱(数量)と5割(単価)で、いずれも主要国では下位に低迷している。経産省はこうした輸出品目の「硬直化」が輸出低迷につながると見ている。白書原案では「IT関連製品、炭素繊維、産業用ロボットなどは需要拡大が見込まれる」と指摘している。》

伸び盛りの産業にシフトできていないのだ。これはまずい。
成長が確実な再生可能エネルギーへの消極的な姿勢にも、それが現れている。
日本がが不名誉な「化石賞」を受賞したという5日のNHKニュースから。

地球温暖化対策の新たな枠組みを話し合う国連の作業部会に合わせ、国際的な環境NGOのグループは4日、日本が今月決定した温室効果ガスの削減目標の案が不十分だなどとして、温暖化対策に消極的な国を対象にした「化石賞」を日本に贈りました。
国際的な環境NGOのグループは、毎年、地球温暖化対策を話し合う国連の会議に合わせ、温暖化対策に消極的な国を選んで「化石賞」を贈っています。
このグループは4日、ドイツ・ボンで開かれている地球温暖化対策の新たな枠組みを話し合う国連の作業部会に合わせ、現地で記者会見し、日本に「化石賞」を贈ることを発表しました。
その理由について、日本政府が今月2日に決定した2030年までの温室効果ガスの削減目標を2013年と比べて26%とする案について、不十分で野心的ではないとしています。
また、発展途上国二酸化炭素の排出につながる石炭を使った火力発電所のプロジェクトを支援していることなども理由に挙げています。
このグループで広報を担当するリア・ヴーハーさんは、「日本は温暖化対策で強いリーダーシップを示して、国際社会の期待に応えてほしい」と話しています。》

写真=化石賞を贈られた日本

米国でさえも、おととし、石炭火力発電所が事実上新設できなくなる厳しいCO2排出基準を定めており、日本の「遅れ」はひどすぎる。
世界がなだれをうって、風力、小水力、太陽光などの導入に動き出すのを横目に、原子力を「ベースロード電源」の一つに位置づけ、再稼動に懸命な日本は、国全体がガラパゴス化するのではと気がもめる。