感染したのはWHOの医療関係者だった

takase222014-08-25

ジャーナリスト、常岡浩介さんが取材中のシエラレオネのカイラフンでエボラ出血熱に感染したのは、WHOの医療関係者のようだ。
現地では、常岡さんが、「WHOのセネガル人」との情報を得ていたが、WHOの声明で確認された。
世界保健機関(WHO)は24日の声明で、西アフリカで流行するエボラ出血熱対策のため、WHOの提携機関がシエラレオネに派遣したスタッフがエボラ熱に感染したと発表した。WHOや提携機関が現地に派遣したスタッフから感染者が出るのは初めてという。WHO報道官によると、感染したのはセネガル人の疫学専門家。現在、治療のため国外への搬送も検討されているという。》(共同)
MSF(国境なき医師団)の日本人看護師によると、毎日12時間働き、土日もないという。暑さのなか、防護服を着ての作業は1時間が限度。疲労のために注意力が散漫になり、防護服の着脱のさいにウイルスに接触してしまうのが医療関係者の感染につながっているのではないかと推測されている。
(写真は、7月末までカイラフンで活動した看護師、吉田照美さんが、防護服を着るところ)
現場ではただでさえ、医療施設やスタッフが圧倒的に足りないという。医療従事者に感染が出れば、恐れをなして撤退するスタッフが出ても責められない。状況はますます逼迫していく。

MSFは国際社会の反応が鈍すぎると繰り返しアピールしている。
リベリアシエラレオネにおけるエボラウイルスの拡散は、死に至ることもあるこの感染症の過去最悪のアウトブレイク(集団発生)――公式発表によれば、少なくとも1229人が犠牲になった――を封じ込めようとする他の西アフリカ諸国の努力を打ち消してしまう恐れがある。
 しかし、ギニアリベリアシエラレオネの3カ国でエボラ出血熱を封じ込めようと先頭に立って奮闘している国境なき医師団(MSF)によれば、被害に見舞われている国々からの支援増強要請に対する国際社会の反応は「全くない」という。》(フィナンシャルタイムズ21日)

常岡さんの現地取材に対して「これは日本への感染を広げる可能性のある行為だ」との批判がある。
つまり、感染の危険があるような場所での取材を避けよというのだ。
しかし、事態の深刻さを知らせ、もっと国際的な支援を強めなければ、取り返しのつかないことになりかねない。
常岡さんが無事に帰国して、現地の事情を広く伝えてくれることを祈る。