北朝鮮「水爆」実験のなぜ

takase222016-01-08

毎日そばを通るギリシャ正教ニコライ堂
きょうは雰囲気が違うなと思ってのぞいたら、お葬式だった。冬空をバックに厳かに静まっていた。
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3日放送の「情熱大陸」で「国境なき医師団」(MSF)の看護師、大滝潤子さんを放送したあと、たくさんの反響が「医師団」に寄せられたそうだ。
以下は、ある中学生からの感想。

《今日情熱大陸を見ました。
現地の映像がとても躍動感があってとても胸が高鳴りました。大滝さんは強くて現地の人の隣でお話を聞いていらっしゃてってすごいなと思いました。現在シリアでは難民の方々が国境を越えて逃げて来ていることを知り、私はまだ中学生だけど今にでも現地へ行って人々を助けたいなと強く思いました。私は国境なき医師団に将来、看護師として入りたいと思っていますが待ちきれません!今にでもシリアや難民が困っているところへ駆けつけたいです!

おお、なんて真っ直ぐなんだ。何かしたくて身もだえせんばかりの文章に、こちらが感動させられた。番組を観てこんなふうに思ってもらえるとは、制作者冥利に尽きる。
この番組はそもそも、2年前、ジャーナリストの常岡浩介さんが「エボラ出血熱」の取材で、シエラレオネの「国境なき医師団」のクリニックを訪れたことがきっかけだった。常岡さんが首都からシエラレオネをほぼ横断してジャングルの中のクリニックに行くと、そこに大滝潤子さんが派遣されていた。1日目、大滝さんを取材して、続きは翌日と思って別れたら、その日、そのクリニックの医療スタッフのエボラ発症が判明。緊急事態が宣言され、急遽、取材は中止になった。まさに最前線だった。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20140830
ひとつの番組ができるにも、たくさんの人の助け、幸運なめぐりあいがある。
すべてのことに感謝!
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北朝鮮が「水爆」実験に成功したと発表。当然ながら、大きなニュースになっている。

なぜかなぜ分かればなぜと言わぬなぜ(埼玉県 吉澤泰而)

8日の朝日川柳に載っていたが、メディアの解説は、北朝鮮の「思惑」に集中している。
北朝鮮が「なぜ」こんなことをするのか、分からないからだ。

北朝鮮が核実験やミサイル発射のたびに、ワンパターンの「思惑」「狙い」の解説が繰り返される。
ひとつは、瀬戸際外交で、アメリカへの直接交渉を迫るため。つまり核実験は「アメリカへのラブレター」だという。
もう一つは、国内の不満に対する引き締めと金正恩の威信高揚が狙いだとして、タイミングとして誕生日や国家の重要行事と関連づける。

最終目的は体制の維持で、アメリカとの関係改善による制裁解除、資金援助を受けての経済再建を狙っている、というところに落とし込む。
でも、必ず制裁が待っていて、経済的にはダメージになることをあえてやるわけだから、解説をふつうに聞いていると当然わからなくなる。先の川柳のようになってしまうわけである。

さすがに今回は中国にも事前通告しておらず、いきなりの「水爆」宣言に、常連の解説者たちも自信無げ。なんとか辻褄をつけようと、なかには、こんなトンデモ解説も。
いわく、核兵器を持てば、通常兵器は削減できる。軍縮で資金をうかせて経済建設に回そうというのではないか・・・
たいてい結論として、まだ水爆は技術的に無理だし、ミサイル搭載まで小型化していない。過剰反応するのは北朝鮮の思うつぼだから落ち着いて見守りましょう、となる。要するに騒がなくていいというのだ。

しかし、この事態にまず注意すべきは、北朝鮮使用可能な核兵器の開発を真剣に進めている事実ではないか。
外交の手段にするために核兵器を開発することはありえない。この当たり前のことを指摘する人が見当たらない。不思議である。
(つづく)