24日、国連でオバマ大統領とイランの新大統領ロウハニ師が演説した。
オバマの演説を新聞はこう報じた。
《米国の当面の外交努力はイランの核問題と、アラブ諸国とイスラエルの対立の解消に向けると表明。米国との外交断絶が続くイランについては「難しい歴史を一晩で乗り越えることはできないが、核問題を解決できれば、これまでとは異なる関係への大きな一歩になる」と述べた。オバマ氏はさらに、イランによる原子力の平和利用を認めるべきだとしたうえで、関係国とともにイラン政府との外交交渉を進めるようケリー米国務長官に指示したことを明らかにした。》(朝日)
一方、ロウハニ大統領の演説については;
《ロウハニ大統領は、オバマ大統領の演説の数時間後に登壇。核協議について、期限を設け結果重視で臨む用意があるとし、米国との緊張を高めることは望んでいないと語った。
「オバマ大統領の演説を注意深く聞いた。米政府がリーダーシップを発揮する政治的意思をもち、戦争を挑発する勢力に追随することがなければ、われわれは見解の相違点に対処する枠組みを構築することができる。この目的達成のためには、対等な立場、相互の尊重、国際法の原則が重視されるべきだ。もちろん、米国の主張が一貫していることを期待する」と述べた。》(朝日)
なお、毎日新聞の記事によると;
《アフマディネジャド前大統領の演説に際しては、米国とイスラエル両国の代表団は会場から離れることが恒例だった。この日、イスラエルの代表団は退席したが、米国の代表団は最後まで演説を聴いた。》(毎日)
アメリカとイランはともに外交関係の大幅な改善に意欲を見せている。ここ10年で最も良い雰囲気になっている。
8月に就任したばかりのロウハニ大統領は欧米への融和姿勢を見せており、訪米直前には、イラン司法当局は、アフマディネジャド前大統領時代に捕らえられた80人の政治犯の釈放を決めたことを発表した。
《ロウハニ大統領が国連総会に合わせニューヨークを訪問するタイミングでの今回の決定は、人権状況で柔軟姿勢を示すことで欧米との緊張を緩和し、核問題をめぐる欧米などとの交渉の進展につなげたい狙いがあるとみられる。》(共同)
アメリカ側から両首脳の接触を打診したが、イラン側が断ったという。アメリカはかなりの期待感を抱いていたわけだ。
《ロウハニ大統領は同日(24日)、米CNNテレビのインタビューに応じ、オバマとの接触は時間の都合で実現しなかったと説明。最高指導者ハメネイ師から核開発問題に関する交渉について裁量権を委ねられているとし、「イランから米国に対して平和と友好を届けたい」と英語で話した。》(産経)
この一連のニュースから、オバマ大統領がシリア攻撃の姿勢を転換した背景が見えてくるように思う。もしシリア攻撃に踏み切ったら、シリア政府を支持するイランとの関係改善は不可能になる。
オバマは、対イラン関係を改善し、中東政策を本格的に立て直そうという構想で動き出している。オバマは国連演説でこう明言した。
「今後、アメリカは外交努力を以下の二つの問題に集中させる。それはイランの核兵器開発とアラブ・イスラエル紛争だ」(In the near term, America’s diplomatic efforts will focus on two particular issues: Iran’s pursuit of nuclear weapons and the Arab-Israeli conflict.)
26日からイランの核問題をめぐって欧米など6カ国との協議が予定されているが、ここでイランがどんな提案をしてくるのか、注目される.