10月1日放送の「ガイアの夜明け」が最後の追い込みに入っている。
夜、編集中の映像をプレビュー後7〜8時間打合せし、朝方に帰宅。早朝、オフィスの近くを歩くと空気も風景も新鮮だ。ひんやりした空気のなか、上ったばかりの朝日がニコライ聖堂を神々しく見せている。
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米国とイランが、「劇的」といってもいい関係改善を演出している。
きのうのニューヨークタイムズ一面は「オバマ、イランの大統領と1979年以来初めて対話」の見出し。26日にケリー国務長官とイランのザリフ外相が、30年以上ぶりの外相会談を実現したのに続き、大統領同士が、電話でではあるが、直接に言葉を交わしたのだ。
東京新聞によると;
《オバマ米大統領は二十七日、ニューヨークを訪問していたイランのロウハニ大統領と電話で会談し、イランの核開発問題の外交解決に向けて早期の合意を目指すことで一致した。両国大統領の実質的な意見交換は一九七九年のイラン革命に続く国交断絶後、初めてで対話機運が鮮明になった。
オバマ氏はロウハニ師に対し、核問題の打開には困難が伴うものの「包括的な合意に達することは可能だと確信している」と伝えた。ホワイトハウスで記者団に明らかにした。ケリー国務長官に関係国と協力して外交努力を続けるよう指示していることを強調し、イランとの交渉進展に期待を表明した。
さらに、イランが国際義務を履行するなら「イラン国民が核エネルギーを平和利用する権利を尊重する」と強調。イランが核技術を軍事転用しないことを示す「透明かつ検証可能な行動」を取れば、「国際社会による経済制裁の緩和につながる」と述べた。
ロウハニ師は帰国便に搭乗する直前、ツイッターで電話会談したことを公表。双方が「核問題を早期に解決する政治的意思を表明した」と述べた。電話の最後にロウハニ師が英語で「良い一日を」とあいさつし、オバマ氏はペルシャ語で「さようなら」と応じたことも明らかにした。
米政府高官によると、電話会談は二十七日午後二時半(日本時間二十八日午前三時半)ごろから約十五分間行われた。ロウハニ師側から、ニューヨークを離れる前にオバマ氏と話したいと要請があったという。》
ロウハニ大統領のツイッターを数日前からフォローしている。
#Obama, #Rouhani agreed ground shud b prepared 4 solving of other issues, incl regional matters.
shud bはshould be で、4はfor 、incl はincluding 。「オバマとロウハニは、(核兵器問題以外の)地域問題を含む他の事柄の解決についても準備して取り組むことを合意した」という意味だろう。高揚した感じのツイートが続く。
シリアへの攻撃をめぐっての騒動を含め、最近の動きをみると、イラン側からの入念な対米「工作」で、オバマが大統領就任時に表明していたパレスチナを含む中東政策の本格的建て直しの熱意にふたたびギアが入ったように感じられる。
私はイランと北朝鮮は全然違うと考えてきた。そもそも、IAEAを脱退して原爆をどんどん作ると公言し、実際に核実験を続けている北朝鮮に対して、イランは、IAEAにとどまって核兵器を決して作らないと表明し続けている。
イランの選挙を二回(総選挙と大統領選)取材したが、選挙戦の熱気と民度の高さに驚いた。メディアの報道でも街頭インタビューでもはげしい政府批判を聞いた。対話での問題解決が可能な国だと確信した。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20090608
ところが実際には、米国のイランに対する姿勢は、北朝鮮に対するそれよりもはるかに厳しい。(北朝鮮には米国元大統領や外相まで訪問している)
もちろん、これはイスラエルの存在を抜きにしては理解できない。
今後の米イラクの関係改善に対しては、これを阻止したいイスラエルやサウジアラビアなどアラブ諸国が必死に妨害をしてくるだろう。こういう「工作」はしばしば謀略的なので要注目。
一方、シリア攻撃はなくなった。内藤教授はシリアの事態がいっそう困難になったと言う。
《イランの軟化は、シリア問題を一層、困難にする。イランは、シリア反体制派のうち、ヌスラなどスンニー派の過激派を堂々とテロリスト呼ばわりできるから。しかし、ヒズボラは?》http://twitter.com/masanorinaito/status/38373291032434278
米国・イラン関係の改善は、良いことなのか、悪いことなのか?