5月31日の夕方、有田芳生さんの『闘争記』出版記念パーティがあった。
出版記念とはいいながら、この時期だけに、さながら選挙への総決起集会。政治家の多さが目についた。挨拶に立った人は口々に、「有田さんをぜひ国会に送ってください」と締めくくっていた。有田さん、これまで二回落選している。
有田さんは「今度こそ三度目の正直とは思うが、二度あることは三度ともいうし・・」と会場を笑わせていたが、精神的にも経済的にも大変だろうなと想像する。
このパーティの呼びかけ人は;
鳩山由紀夫、横田滋、横田早紀江、蓮池透、市川森一、湯川れい子、吉田類。
会場に入るとすぐ、市川さん、湯川さん、紀藤正樹弁護士に会った。加藤タキさん、飯干景子さんなどの顔も見えた。
横田さん夫妻が忙しいなかかけつけて挨拶。滋さんは、有田さんが中心になってやってきた「7人の会」のこれまでの活動への感謝と、拉致問題への取り組みの期待を語った。
拉致問題に詳しい人なら、横田さん夫妻と蓮池透さん(拉致被害者、薫さんのお兄さん)がともに名を連ねていることに驚くだろう。蓮池さんは、ここ数年、家族会には出ずに独自に活動し、ここ2年ほどは「救う会」主導の救出運動に批判的な言動を強めていた。今年3月には家族会から「退会」させられている。事実上の除名処分だった。
横田滋さんに、蓮池さんと並んで呼びかけ人になることで迷惑がかかったりしませんかと尋ねると「全く気にしていません。人によって意見が違うのは当たり前のことですから」とのことだった。
横田さんと蓮池透さん、両方から信頼されているというのは、有田さんならではだ。
蓮池透さんの主張、特に歴史の清算をしてこなかったことが拉致につながった、歴史の清算をすれば北朝鮮を動かせるという内容にはとても賛成できないが、彼も善意で真剣に拉致問題を解決したいと思っているに違いない。
いま、拉致問題の運動が政治的に狭くなって、今ひとつ全国民的な運動になりきれないことを残念に思う。違った立場の人々が議論しながら運動をするということができないだろうか。
結局、蓮池さんは会場に来ず、お互いが顔を合わせることはなかった。
有田さんは今も、ブルーリボンの会など、拉致救出のNGOの街頭署名などに時間を縫って参加している。ブルーリボンを背広につけ言葉だけは勇ましいその辺の政治家とは違って、運動の現場で汗を流している。
有田さん当選の暁には、この行動力と包容力をもって、拉致問題を少しでも前に進めてほしいと願っている。