鳩山首相が辞め、きょう菅直人氏が次の首相に選ばれた。
2年前、福田首相が辞めたとき、アメリカ人からなぜと聞かれて恥ずかしかった話を書いた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080915
二世政治家の首相が続いて「嫌になったから」辞めたが、やはり二世政治家の鳩山氏もあっさりと土俵を割ってしまった。結果的には良かったと思うが、政治家の資質の問題を考えさせられた。
鳩山氏が辞任表明後、ツイッターで2日、深夜2時53分につぶやいている。
《本日、総理の職を辞する意思を表明しました。国民の皆さんの声がまっすぐ届く、クリーンな民主党に戻したいためです。これからは総理の立場を離れ、人間としてつぶやきたいと思っています。引き続きお付き合い下さい》
こういう形で政権を投げ出すことをちっとも重く受け止めていないことに驚く。
政治家とくに首相は、自分の命を投げ出すつもりでやってほしい。そういう人がいないから、龍馬の時代に憧れるのではないか。「切った張った」が良いということではなく、国民の生命と暮らしに責任を持つことを自覚すれば、自然に一身を投げ出す覚悟が出てくると思うのだ。
一方、韓国では地方選があった。結果は、ハンナラ党有利という事前の予想を裏切った。
《2日に投票が行われた韓国の統一地方選は、中央選管の集計で3日、保守系与党のハンナラ党は事前の予想に反し、全国16の主要市長・道知事選のうちソウル市など6首長選で勝利するにとどまった。左派系最大野党の民主党は、首都圏の仁川市など7か所の首長選を制した。(略)
統一地方選は、韓国海軍哨戒艦沈没事件をめぐって李明博政権が北朝鮮との貿易や交流事業の中断をはじめ独自の制裁に乗り出すなど強硬姿勢を強める中で行われた。選挙結果は、沈没事件をめぐる李政権の対応が北朝鮮との対立をエスカレートさせるとの強い懸念が有権者の間にあることを裏付けたといえ、李政権は今後、北朝鮮に対する強硬政策の見直しを迫られる可能性がある。(略)
民主党は事前の世論調査で苦戦が伝えられていたが、選挙戦終盤で、「戦争か平和の選択になる」と訴え、李政権が北朝鮮との緊張をいたずらに高めていると批判を強めていた》(読売)
経済発展の結果、韓国はすでに「失うもの」をたくさん持つ社会になった。戦争に至らないまでも軍事境界線で衝突が起き、カントリーリスクが高まって外資が逃げたりしたら一大事だ。危機が叫ばれるほど、社会に「何とか穏便に」という声が強くなるのは理解できる。選挙結果を韓国人の「平和ボケ」などと評することはしたくないし、日本人が言えた義理じゃない。
だって、日本人の多くは、安全は「アメリカが何とかしてくれるんじゃないの」と思っているのではないか。普天間問題の根っこにはこれがある。
新政権には、安全保障政策もちきんと打ち出すことを期待する。