陽光桜そしてウコン桜

takase222010-04-16

きょうは真冬に戻ったようで、おそろしく寒い!
火曜(13日)はぽかぽか暖かかった。その日、正午前、私は取材で江田五月参議院議長を訪ねた。はじめて議長公邸に入ったが、敷地6千坪の広さ。庭園の緑の木々に癒される。桜が、風が吹くたび花びらをはらはらと散らせて実に美しい。
いいですねえ、と言うと、江田議長は「この庭にはいろんな桜があってね。花は終わったけど、『陽光桜』というのもあるんだよ。平和の桜と言われているらしい」と庭園の一角を指差した。すっかり葉桜になっていたが根本に「陽光桜」と書いた板が立っていた。
気になって調べたら、高岡正明という人が作った新種だという。彼は戦中、青年学校の教師として多くの教え子を戦地に送り出したが、終戦後、激しい後悔に駆られた。そこから話は始まる。以下は娘さんの文章より;
終戦後、青年学校もなくなり父・正明は狭い畑を耕しながら細々と暮らしを続けていたそうです。
そんなある日、父が青年学校の跡地を訪ねた折、ふと見上げると、思い出の校庭にさくらが満開に咲いているのを見て、当時の教え子たちとの思い出が次から次へと脳裏をよぎったそうです。
父はその時決心し。「二度と戦争のない平和な世界は自分たちの手でつくらなければならない。そのためには生徒一人一人の命の証であり平和の象徴でもあるさくらをつくり、世界に広めてゆくことが自分の残された人生の最大の仕事だと考え、世界を視野に、どこにでも適応できる桜を開発する必要がある。
その後の父の執念には凄まじいものがあった。私財を投げ出し、新しいさくらをつくるため日本中を尋ね歩く日々が始まった。尋ねた土地から色々な品種のさくらが自宅に届けられた。朝から晩まで毎日々文字通りのさくら、さくらの日々が続き、失敗を繰り返しながら、品種改良に没頭し、20数年が経過、ようやく病気にも強く、厳しい気候にも耐えうることを発見、この時にようやく今までにみたこともない大輪で紅色の強い丈夫な品種が誕生し、新しいさくらとして注目されるようになりました。
父はこの新しい品種のさくらを「天地に恵みを与える太陽」という意味を持つ「陽光」と名づけた、以来この「陽光」の量産に取り組み、お蔭様で、ようやく、花期、花色、樹勢ともに満足できる新しい桜「陽光」を完成する事ができました。》http://sakura-yoko.org/tour/tour02/speech02
高岡さんは2001年92才でなくなったが、無償で寄贈した桜の苗木は約5万本余になったそうだ。陽光桜は世界に広まって、バチカン法王庁の庭にも咲いているという。
写真で見ると、華やかでメリハリの利いた花である。
取材も済んで公邸を出ようとしたら、門の前に満開の花がある。姿は桜だが、花が黄色い。これは何ですかと門衛に聞くと、「ウコンザクラ」というそうだ。(写真)
名前は聞いたことがあるが、見たのは初めて。
「右近」かと思いきや「鬱金」つまり、あの肝臓にいいとかいって飲むウコンからきている。ウコンの根は黄色の染料になり、その色に似ていることから名付けられたとか。
日本にはさまざまな桜があるものだ。