朝鮮学校の無償化論議に思う1

朝鮮学校を高校無償化の対象に含めるべきか、議論が盛んになってきた。
主要5紙のなかで反対は「産経」だけで、他はすべて無償化賛成だという。私は、朝鮮学校を無償化の対象にすることには大きな疑問を持つ。
断っておくが、私は、朝鮮人憎しの感情は持っていないつもりである。
現在の在日韓国・朝鮮人が日本社会に円滑に溶け込むことをさらに促進すべきだし、日本に定住しようとする脱北帰国者(帰国事業で北朝鮮に渡った在日とその子弟)の受け入れ体制も整備されなくてはならないと思っている。
また、生活保護や失業保険などのセーフティネット子ども手当て、その他の福祉は、国籍にかかわらずに提供されるのが当然だ。しかし、これら生活者としての個々人を対象とした施策と、朝鮮学校を高校無償化の対象にするかどうかとは別の問題だと思う。
問題は、朝鮮学校が、日本にある教育機関としてふさわしいものかどうかである。
例えば、オウム真理教統一教会のような、反社会的な宗教団体が学校を運営していたと仮定する。こういう学校に公金をつぎ込むことは、決して認められないだろう。ここで「子どもに罪はない」という議論は成り立たないし、授業内容が学習指導要領に沿っているかどうかは副次的なことだ。
朝鮮学校とは、端的に言って《総連の学校》である。私は、総連を反社会的な性格の強い団体だと見るが、皆さんはどうだろうか。議論はここからはじめなければならないのではないか。
鳩山首相は12日「文部科学省が中心になって客観的に評価できるシステムが必要だ」として、文科省に第三者機関を設置して検討することになった。教育内容の検討に収斂するとすれば筋違いだと思う。そもそも、新たな機関を作る必要もないはずだから、単に決定を引き延ばす口実づくりにすぎない。
北朝鮮が、拉致問題に関する調査機関を作りますと言ったとき、いったい何を調べるのかと笑ってしまったが、あれに似ているといったら失礼だろうか。
これに比べれば、橋本大阪府知事の方が、分かりやすい。同じ12日、橋本知事は朝鮮学校を視察し、《同学校長らに対して「金正日総書記の肖像画を撤去してほしい」「総連との関係を切ってほしい」などと要請し、受け入れられない場合には、府からの補助金交付を取りやめる考えを示した。》(産経)
知事は《総連からの寄付を受けない、朝鮮総連の行事に学校幹部が参加しない、大阪朝鮮高級学校の教室の上に掲げられた故・金日成主席らの肖像画を外す―などを求めた》(朝日)。
これに対して、副理事長は「総連はずっと支援してくれた大事な支援者。(一線を画せと)ぱっと言われてもきつい」と答え、橋本知事は《「自由を求めるのか、府の公金を求めるのか、どちらかを選んでほしい」と「決断」を迫った》(朝日)という。
公金を使うのだから、本来このように、条件を行政側から提示するのが筋である。肖像画をはずすかどうかで「内部矛盾」が表面化するかもしれない。こういう圧力はどんどんかけたらいい。
高校無償化よりも問題だと思うのは、地方自治体が、いまも朝鮮学校補助金を出し続けていることだ。東京都は朝鮮学校の児童生徒一人あたり年約1万5千円、大阪府は年6万9千円を支出している。
なお、朝鮮学校の学費は普通の私立高校より高い。子どもたちは、日本の公立高校や私立高校に行くこともできるわけで、無償化の対象から朝鮮学校を外したとしても、「学ぶ権利を奪う」ということにはならない。
はじめに戻ろう。総連は反社会的な団体なのか。
私は最近、総連の元幹部から驚くべき話を聞いた。
(つづく)