都知事選は人気投票でいいのか

 都知事選がきょう告示された。
 宇都宮氏が降りて、野党4党が共同で推す鳥越氏、自民党都連擁立の元総務相の増田氏、前自民党衆院議員の小池氏の主要候補3人の争いとなった。

【立候補の辞退を発表する宇都宮健児氏】
 都知事選2回の落選を経て、都議会の傍聴に通いつめ、一つ一つ政策を作り上げてきた宇都宮氏が、票を分散させるなという圧力のなか、立候補を辞退したのはまさに苦渋の決断だったろう。政策もなにもなく、勝てる候補に乗っかるのでは自公の候補者選びと同じだと批判する宇都宮氏の言葉に同感だ。自分がスターだと勘違いしてまともに都庁にも出ない知事が続いて都政がおかしくなったのだから、今回こそ政策本位で選ぶべきなのだ。
 選挙とはベストを選ぶのではなく、「よりまし」を選ぶのだということは理解しているつもりだ。それでも程度というものがある。

 国政レベルでは東京の自公と野党の票数は拮抗している。保守が分裂するなか、人気・知名度抜群の鳥越氏に野党4党が乗っかるとなれば、ふつうは圧勝するだろうと思う。
 しかし、12日の立候補会見、13日の日本記者クラブでの共同記者会見、13日の「報道ステーション」などで、鳥越氏の受け答えがボロボロで、リベラル派の中からも失望の声が上がっている。慣れているはずのテレビメディアへの露出が、逆に票を減らしかねないという皮肉な事態だ。
 共同記者会見では、冒頭、最も重視する政策として鳥越氏が掲げたのが「がん検診100%」と書いたボード。これには私も驚いた。がん検診率が上がることが望ましいのは分かるが、今の都民の心にずばり訴える政策として挙げるものだろうか?
 他の3人が、宇都宮「困ったを希望に変える」、小池「東京大改革」、増田「混迷に終止符」とそれなりの標語を書いたのと比べてピントはずれ感が際立った。

 会見などで熱を込めて語ったのが、
 ガンの患者でも都知事はできるんだということをみせたい・・
 これまでアウトサイダーだったが、最後に1回くらいインサイダーで責任を果たしてみたい・・
 長くない残りの人生を都政にささげたい・・
 参議院選挙とは違う結果が出ればたいへんうれしい・・

 「わたし」のことしか語っていない。都民のためにこうしたいという言い方が出てこないのである。 
 選挙戦が都民を置いてきぼりにして、今回も人気優先のイメージ選挙になっていくことを憂える。