きのう、都知事選に鳥越俊太郎氏が立候補し、候補者の顔ぶれがだいたい決まった。
鳥越氏とはながい付き合いがあるが、都知事はどうか・・これまで都政に関心なかったので政策はまだありません、と会見で堂々と語っていたのには驚いた。
ところで、都政の混乱を、みな「猪瀬、舛添の二人」に帰しているが、その前の「石原」を加えなければおかしい。
2012年10月、4期目の都知事を「新党結成」すると1年半で放り出し、どたばたの都知事選が続くはじまりとなった。任期を全うしない知事が3人続くことで、政党は、著名人、勝てる候補にのっかることが恒常化。政策などどうでもいいということになっている。
しかも、予算規模を持ち出して、東京都のリーダーは、そんじょそこらの国家の大統領より偉いのだと、地道な地方行政よりも、海外視察や名誉にかかわる活動ばかり重視するスター気取りも石原氏からはじまっている。
いまの顔ぶれから言えば、2回の都知事選落選を経て、じっくり政策を練り上げてきた宇都宮氏が最適だと私は思う。野党票を鳥越氏に一本化するために「降りろ」とすごい圧力がかかっているらしいが、どうなることか。
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さて、南スーダンと自衛隊について。
PKOの中国人が2人死亡したとの報が入った。(きのうの時点では1人死亡)
「中国外務省は12日までに、南スーダンに展開している国連平和維持活動(PKO)の中国派遣部隊が攻撃を受け、隊員2人が死亡したと発表した。このほか2人が重傷、3人が軽傷という。同省や国営新華社通信によると、現地時間の10日午後6時40分ごろ、キール大統領派とマシャール第1副大統領派の戦闘が発生した首都ジュバで、難民キャンプの警戒任務にあたっていた中国派遣部隊の装甲車1台に砲弾が命中した。」(産経新聞)
「装甲車に砲弾命中」とは、もう本格的内戦である。
今回の戦闘勃発と似た事態が2年半前にもあった。
日本は首都ジュバに自衛隊施設部隊(約350人)を送り、道路建設などに従事させていた。2013年12月15日、派遣部隊の交代時期にあたっていて、新着の第5次隊(兵庫県)が第4次隊(熊本県)から指揮移転された。
ちょうどその当日、「クーデター」が起きて、首都で大規模戦闘が勃発した。戦乱は全国に広がり一カ月たらずで避難民が70万人に達し、8万人もが国連の施設に逃げ込む事態になる。自衛隊が駐屯する首都ジュバの国連関連施設にも避難民が押し寄せた。
第5次隊隊長、井川賢一・一等陸佐は、隊員全員に防弾チョッキと鉄帽を着用させ、武器と弾薬を携行させたうえで、「各自の判断で、正当防衛や緊急避難に当たる場合は『撃て』」と命令したのだった。
http://www.sankei.com/politics/news/140627/plt1406270035-n2.html
この事態に対して、国連は「市民を守るために武器使用をためらうな」と指示した。
【副大統領派の部隊】
きのうの繰り返しになるが、国連PKOはかつては停戦監視などが主な任務で、中立性を保つことを重視したが、今や、派遣先は多くが内戦の地で、戦闘してでも危険にさらされた市民を守るという姿勢に大きく転換している。
結果、こうした危険な任務に携わるのは、その派遣される国の周辺国か特別な利害関係を持つ国、または国連からの償還金を目的にした途上国だけになっている。日本人は今でも、PKOというのは先進国が軍隊を出して、途上国を助けていると誤解している人が多いが、実は先進国はPKOにはほとんど部隊派遣をしていない。
実際、国連南スーダン共和国ミッション (UNMISS) に部隊を派遣しているのは、莫大な石油利権を持つ中国(3000人も派遣している)と潘基文国連事務総長の出身国としてのメンツで派遣している韓国、そして日本以外は、アフリカ諸国と途上国(ネパール、バングラデシュなど)である。日本よりもアフリカと関係が深い欧米諸国は軍隊を出していない。
本来、日本はPKOに自衛隊を出さなくてよかったし、出すべきではなかったのだ。
さて、2年半前の事態に戻ろう。
戦闘がやまぬ2013年12月24日、国連安保理はUNMISSを増強するため、軍事・警察要員約7千4百人を1万4千人に倍増する決議を全会一致で採択した。危機に対して「増強」の方針である。
ところが、その同じ日、日本では、安倍政権が自衛隊撤退の検討に入っていた。PKO参加条件の「紛争当事者間で停戦合意が成立」が満たされていないと見たからだ。
この日の二つの動きは、日本の自衛隊が直面する矛盾を端的に示していた。
(つづく)