自称「仲介人」を無視しよう

モハメド・アリ死去。
彼の栄光は、ベトナム戦争の裏絵だった。なぜ改宗、改名したのかも当時はよくわからないながら、時代に抵抗する者の代表として一目置くことにした。
ジョージ・フォアマンとの一戦は今も鮮明に覚えている。徴兵拒否のため最盛期をすぎてしまった元チャンプが、過去四年間、すべての対戦相手を2ラウンド以内にリングに屠ってきた絶対王者にはたして通用するのか。
案の定、はじめから防戦一方でロープを背にするアリ。いつ倒されるかとはらはらしながら観ていると、打ち疲れもあるのか、次第にフォアマンの息が上がってきた。アリが一瞬のすきにパンチを数発畳み掛けるとフォアマンが倒れていた。感動したなあ。
うちのオフィスのトイレには、誰が貼ったのか、ソニー・リストンをKOしたアリの写真がある。

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イスタンブール空港の留置場にいた常岡浩介氏のツイート
《看守が怒り狂いながら入ってきて、「日本人!」と、呼ぶ。何事かと思えば、「一週間振りに、子どもがみつかったぞ!」》
https://twitter.com/shamilsh/status/738701908337168384
これ、北海道山中で“しつけ”のため置き去りにされ行方不明になっていた小学2年生の話。世界中でニュースになっているということを納得。
なお、常岡氏は、リトアニアに国外退去させられた。こういう場合、運賃は自前。災難である。
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きょうは朝から渋谷のスタジオで、ある番組のMA立ち合い。
夕方、テレビ朝日へ。BS朝日の「いま世界は」に生出演してきた。
テーマは《安田純平さんの新画像公開…安否は?解放交渉は?》
http://www.bs-asahi.co.jp/imasekaiwa/
解放には水面下の交渉しかありえないはずなのに、自称「仲介人」が名乗りを上げ、1000万ドルなどと身代金の金額まで提示して、それがメディアにも登場すること自体異常であること。身代金を払わない日本政府が、こんなルートと交渉できるはずがないこと。
身代金なしにヌスラ戦線から解放されたジャーナリストも実際にいること。身代金なしの解決をめざす立場からは、自称「仲介人」のルートは無視すべきことを話した。
最後に今後どうすればいいんですか、と聞かれたときにも、フリップに「自称『仲介人』の動きを無視すること」と書いた。
「仲介人」が画像を出したりするたびに日本が大騒ぎすれば、むこうの思うつぼ。メディアが競争して取材することでも、このルートの存在感が強まる。メディアは慎重に対応してほしいと希望した。
今言えるのはこんなところかな。

私と一緒にゲストに呼ばれた田中浩一郎さん(日本エネルギー経済研究所)が、辛抱、忍耐が大事だと言ったので、きのうブログで書いた、安田さんがイラクで拘束されたときのエピソード―車で目隠しされて移動させられたときに車の窓ガラスに手を当てて進行方向の見当をつけた―を披露して、安田さんならしたたかに過ごしていると思うと言った。

自称「仲介人」の脅しにのらないように、と今後も機会あるごとに訴えよう。