はじめにお知らせです。
『中村哲という希望~日本国憲法を執行した男』(旬報社)が来月25日に発売になります。私と佐高信さんが中村哲医師について対談し、私がテーマごとに解説を入れました。予約注文が始まりましたので、よろしくお願いします。
北朝鮮による21日の軍事偵察衛星の発射には、ロシアの技術支援があったとされ、打ち上げは成功し、地球の周回軌道に進入した。北朝鮮はその見返りに、武器や100万発以上の砲弾をロシアに供与したという。
イランからのドローン導入もあり、ウクライナでのロシアの継戦能力は大きく減じていない。一方、ウクライナの主要な工場は多くが破壊され、兵器製造、補充も自力ではまかなえないなか、ガザの事態で国際的な関心が下がっていることに市民も懸念を募らせている。
ウクライナ政府としては、反転攻勢で大きな成果を上げ、軍事支援を受ける欧米にアピールしたいところだろうが、制空権を取られたなかでの地上戦では一気に何キロも進撃するのは困難だ。前線でのウクライナ兵士らは、武器、弾薬が不足しがちななか、よくがんばっていると感じた。
ウクライナの市民たちは冷静で、兵士らの命を大事にしながら戦うことを支持し、反転攻勢で無理な進撃をする必要はないと言う。長期化する戦争を覚悟しているようだ。
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きのうのつづき。世界情勢を小国アフガニスタンから見たら、という話。
「この過程をアフガニスタンの人々から見たら、どう見えるだろう?
ソ連(ロシア)は、10年にわたってアフガニスタンに侵攻して戦ったが、勝利できずに撤退した。そして、ソ連自体が弱体化した末に崩壊した。それが冷戦の終焉だった。
冷戦の敵が崩壊するさまを目のあたりにしたアメリカは。自分たちの勝利に酔いしれた。だが、9.11という未曽有のテロ事件は、新たな敵(イスラーム過激派)がアメリカの安全保障上の脅威となった事実を突きつけた。復讐を誓ったアメリカは、NATOに集団的自衛権の行使を要請し、アフガニスタンに侵攻した。
冷戦時代に、万が一、共産主義のソ連と戦争になった時に発動されるはずだったNATOの集団的自衛権は、こうしてアルカイダに対して初めて発動されることになったのである。だが、アルカイダは国家ではない。NATO条約は、非国家主体と戦争することを想定していなかった。だから結果として、タリバン政権が支配するアフガニスタンという国を相手にNATO諸国が戦うことになった。
そして、アメリカとNATOは20年もの間、共和国政府軍を支援し続けたが、政府軍は、タリバンとの戦いに勝つことができず、アメリカとNATOは撤収した。これを見たロシアは、アメリカが弱体化したと思い込んだ。プーチン大統領の眼には、アメリカがタリバンに敗れた今こそ、ロシアを拡大し、ウクライナを属国化する好機と映ったのかもしれない。
アフガニスタンから世界を見ると、このように見えるはずだ。
だが、力を過信し、小国アフガニスタンをひねり潰すことなど簡単だというソ連、アメリカという大国の傲慢は、戦闘機もミサイルもないアフガニスタンの勢力によって打ち砕かれた。小国だからこそ見える世界は、大国には見えないのである。今やウクライナはプーチンにとっての「アフガニスタン」になりつつあるように見える。」(P4~7)
実は、ソ連のアフガニスタン侵攻で犠牲になった兵士のうち、最も多かったのはロシア人であり、二番目に多かったのがウクライナ人だった。
プーチンにとっての「アフガニスタン」=ウクライナからロシアがはやく撤退するよう期待する。その時には、ロシアのほんとうの弱体化を見ることになるだろう。