酸素原子がつなげるカエサルと私

takase222015-06-14

きゅうは仕事を夕方で終えて、夜は久しぶりに、娘まじえて4人で夕食。
「父の日」なので都合をつけたのだが、きょう午後になって、かみさんから、実は「父の日」は来週だったとメールがきた。みな間違ってきょうと思い込んでいた。「父の日」の認知度が低いのを実感。
家族そろっての食事は月に一度あるかないか。焼肉をつつきながら、一緒の食事ができる幸運に感謝した。「父の日」はもうきょうでいい。
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おととい、テレビでザッピングしていたら、『宇宙白熱教室』というのをやっていた。
去年の再放送だったが、宇宙物理学者、ローレンス・クラウス教授の講義が面白くて最後まで観てしまった。
ものごとは大まかに捉えることが重要だといい、いくつか例を挙げながら、莫大な数から極少の数まで、大ざっぱに計算することで、物事の真実に迫れることを示す。

例えば、シカゴにピアノ調律士が何人いるか。
これを、シカゴの人口規模で、何人の調律士の生計を維持できるかという問題としてとらえ、ピアノを持つ家庭の割合と、調律士が稼げる年収から、あっという間に計算。その数はほぼ実態に近いという。

また例えば、古代ローマ時代のカエサルが「ブルータス、お前もか!」と言って死んだ(史実かどうか別にして)とき吐いた最期の一息の中に含まれる原子のうち何個が、いま、ある一人の人が吸う一息に含まれるか、という問題。
これが驚くことに、1個や2個ではないという計算結果になる。


この話は、クラウス教授の『コスモス・オデッセイ 酸素原子が語る宇宙の物語』に詳しく載っているという。
カエサルが吐いた一息のなかの酸素原子が、その後2千年以上を経て、地球の大気に均等に拡散したとすると、今あなたが吸う空気のなかにカエサルの吐いた酸素原子が含まれない確率は100分の1に過ぎない、という確率計算をした数学者がいるそうだ。
つまりほぼ確実に同じ原子を呼吸で取り入れているのだ。

これは一息を1リットルとして、それだけを計算したのだが、もちろん、呼吸は一回だけではない。
では、応用問題を自分に課してみる。
人は一生で何回呼吸するか。クラウス教授にならって計算しよう。吐いて吸ってで10秒かかるとして、1年で約300万回。50年ほど生きたとしてざっと1億5千万回呼吸する。
とすれば、カエサルの一生で呼吸した原子を何千万という単位で地球上の誰でもが吸っていることになる。
カエサルだけではない。聖徳太子クレオパトラヒトラーなどとも共通の原子を呼吸しているのだ。

クラウス教授は、自分の場合は、アインシュタイン特殊相対性理論を発見したときの一息に含まれていた同じ原子をいま吸っている!」と考えるようにしているとジョークまじりに言っていた。
私なら誰にしようか。お釈迦様が明けの明星を見て覚りをひらいた後に吐いた一息をイメージしてみよう。その中に含まれた原子を、私はいまの瞬間、吸っている・・・と。
これはすごい!感動する。
この「つながり」の感覚は、深い自己肯定感を呼び起こす。
(つづく)