暑い。きょうは半袖シャツにした。
映画『SAYAMA 見えない手錠をはずすまで』を観てきた。
「50年 殺人犯というレッテルを背負いながら、泣き笑い怒り、日々を凛と生き抜く夫婦の物語!」http://sayama-movie.com/
狭山事件は1963年、東京オリンピックの前の年に起きた16歳の女子高生の強盗殺人。映画は、犯人とされた被差別部落出身の石川一雄さんと妻の早智子さんを描くドキュメンタリーだ。
別件逮捕された石川さんは、殺人罪で無期懲役が確定し32年間服役。94年に仮出獄したあと96年に早智子さんと結婚し、今は第三次の再審請求中だ。
実はこれまで、私は狭山事件をちょっと「敬遠」していた。
学生時代、「代々木系」だった私は、部落解放同盟(解同)が「糾弾会」で教師に暴行を加えて多くの負傷者を出した「八鹿高校事件」を機に、解同と敵対する関係にあった。
当時、狭山事件は解同の最重要闘争テーマであり、事件のイベントは党派性むきだしでとても行く気にはなれなかった。石川さん自身が解同の立場に立って、事件直後から支援してきた弁護士たちを「日共系弁護士」として非難し解任したことも、事件に近づきにくかった要因である。
この事件が、単なる冤罪事件なのか、差別事件なのかの評価は今も割れている。
今回、東京オリンピックのころの世相を調べるなかで、不勉強だったこの事件が気になったのだった。
映画は冤罪という重いテーマを扱っているが、見終わったあと、すがすがしささえ感じた。石川さんと早智子さんの笑顔がよく、仲の良い二人の漫才のようなやりとりに、満席の観客から笑いが何度も起きた。
状況的には冤罪の可能性が高いだろうが、映画で石川さんという「人間」を観たあとは、この人が殺人犯であるわけがないという思いになる。
映画の中で、布川事件の桜井昌司さんがこう言う。
「5年、10年と『やってない』と言い続けるのはものすごいエネルギーがいる。ほんとに殺っていたらとてもできませんよ」。犯人だったら無罪を主張しつづけることはできないというのだ。なるほど。
きょうは初日ということで、上映後、石川さん夫妻と金聖雄監督が挨拶した。
石川さんが、「犯人にされなかったら、世の中について知らないままだったろう」と自分の人生を肯定していたのが印象的だった。
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きのうの朝刊は、「拉致再調査で日朝が合意」したというニュースがトップだった。
今週、フジテレビ(ニュースジャパンで4回シリーズ特集)と日本テレビで「よど号」メンバーが住む「日本人革命村」の特集をやっていて「よど号」についても何か変化があるのかと思わせる。
再調査の約束は6年前にもあった。
2008年6月、8月の日朝実務者協議で、北朝鮮が拉致問題は解決済みという立場を転換して「再調査」を開始することを約束。関係者に大きな期待を抱かせた。
しかし、9月に福田首相が退陣表明すると、北朝鮮側は再調査委員会の設置を見送り、そのままになっていた。
今回、局長級会議を中国ではなくスウェーデンで開いたこと自体、かなりの進展があることを予測させたが、スウェーデンを指定したのが北朝鮮側だったというから、向こうの「意気ごみ」は相当なものだ。
今回の合意はどうみたらいいのか。
次回の日記で書いてみたい。