安田さんは12月10日時点で無事との情報

 先週から、1月3日と10日の放送にむけて編集作業がダブルで進行中。
 ちなみに、3日は「情熱大陸」で「国境なき医師団」の看護師、大滝潤子さんだ。去年夏、常岡さんにシエラレオネエボラ出血熱の最前線で働く大滝さんを取材してもらった。そのご縁でできた番組だ。
 テレビ局に資料映像の検索に行ったりの一方で、年末ぎりぎりまで資金繰りの算段。

 何はともあれ、今年も何とか年を越すことができそうだ。ありがたい。
 会社の年賀状に宛名を打ち込んでいると、いろんな人にご縁をいただき、お世話になったなと感謝の念がわく。来年もよいめぐりあいがありますように。
 きょうはお休みをもらって年末年始用に買い物に出かけた。

公園の冬枯れの木々が青空に映えて美しい。ムクノキを仰ぎ見て鋭気を養う。
ケヤキの根元に千両(左)と万両(右)の赤い実があった。


 国分寺周辺は湧水が多く、この「お鷹の道」湧水群は名水百選にも選ばれている。この水でお茶をいれようとペットボトルに汲んできた。神社におまいりして今年一年を感謝。

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きょう、常岡浩介さんがテレビ「いま世界は」で安田純平さんの件でスタジオ出演した。
ゲストが3人いたが、常岡さんの独演会で、かなり踏み込んだ話をしていた。
安田さんの件は、事柄の性質上、たくさんの事実が公表されていないため、多くの誤解を招いている。常岡さんが語った範囲で、今の事態にいたる経緯を書いておこう。

安田さんの救出には、複数の民間人がかなり深く関わっている。
私が知っているだけで、常岡さん、そして今回の騒動を起こしたニルス・ビルト氏以外にも、武装勢力のメンバーにコンタクトできる日本人N氏、在日シリア人のS氏などがそれぞれの人脈と手法で動いていた。
いくつもの民間人ルートが独自に動いていたことが今回の騒動の一つの背景になっている。
つまり、それぞれが全く連携を持たないため、人命にかかわる重大事でありながら、そのうちの無思慮な一部が突出して騒動を起こす事態を阻止できないのだ。
こういう場合、「普通の国」では、政府が乗り出して民間と連携しながら交渉にあたるものだと思うが。

6月23日に国境を超えてシリアに入った安田さんを拘束したのは、実はヌスラ戦線の直轄部隊ではなかった。
そこはヌスラ戦線の影響下にあるものの、雑多な武装グループが活動しており、地域の「主(ぬし)」であるヌスラ戦線とは付かず離れずに共存している。安田さんを拘束したのはそんな一集団、しかもあまり「たちのよくない」利権屋集団だった。
安田さんを救出しようとする日本のあるグループから、ヌスラ戦線に対して、安田さんの身柄を安全に確保するよう要請したことで、「事件」が起きる。
安田さん拘束を知らなかったヌスラ戦線本体は、勝手に外国人を捕まえたその集団の行動に怒り、部隊を派遣、攻撃を加えて、安田さんの身柄を奪った。この戦闘では死者も出ている。
日本側からのメッセージがヌスラ戦線を動かしたわけで、こういうルートを持つ民間人が日本にいるということ自体すごいことだなと思う。

12月10日時点で、安田さんと3人のスペイン人はヌスラ戦線の拘束下、元気に生存していることが確認されている。
ご安心ください。

なぜ拘束が長引いているのか。
常岡さんの推測はこうだ。
いまヌスラ戦線の政治的立場は微妙だ。アサド政権とも「イスラム国」とも激しく戦いながら、和平交渉には加えられていない。米国からはテロ組織扱いされ、ロシアの空爆目標になっている。不透明な今後のためにカードとしてキープしているのではないか。

安田さん救出の展望は今後の交渉いかんだが、きのうのブログで紹介したように、ヌスラ戦線は身代金を取らないで「人質」を解放したことがある。
お金をからませない形でヌスラ戦線に安田さんを解放させようと努力してきた常岡さんたちから見れば、お金で解決しようと(しかも、家族と連絡もしないで)持ちかけるニルス・ビルトの行為は、無思慮で非常に危険なものだ。
お金をもらえるほうがよい、とヌスラ戦線が考えて、ほんとうに身代金要求をしてきた場合、日本には払う人がいない。政府は払わないし(払わないという方針自体はそれでよいが)、家族には支払い能力がないからだ。これでは、安田さんの生命はリスクにさらされる。

常岡さん、番組の最後に、日本政府が前面に出ることは期待していないが、民間が努力しているなか、「イニシアチブを取るくらいはしてくれればと思います」と結んだ。
同感。少しは「普通の国」に近づいてほしいなあ。
(つづく)