アムネスティが拉致問題に消極的なわけ

北朝鮮テロ全体主義国家の実情を訴える6団体共同集会」については、14日の日記で取り上げた。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20081214
特に第3部「共催6団体他、北朝鮮の人権改善を目指す人々による大発言会」での「守る会」とNO FENCEの事務局長、宋允復氏の発言に注目したと書いた。
RENK会員の原さんがテープおこしをしてくれたので、アムネスティに触れた部分など、宋氏の発現の一部を紹介する。
《今回日本で私たち、先ほど来、話が出ている国際会議(北朝鮮強制収容所廃絶のための第一回国際会議http://nofence.netlive.ne.jp/action_plan.html)の開催やったんですよ。そこにアムネスティ・インターナショナルロンドン本部の東アジア担当のディレクター(調査員)、ラジブ・ナラヤンというインド人を招きました。今彼は、サバットといって1年間休職をして韓国の大学で教授をしています。これが終わったら、また来年2月、ロンドン本部に戻ってまたアムネスティの東アジア担当者として活動するそうです。
 その彼と話していまして私がぶつけたのは、「アムネスティというと、90年代半ばに北朝鮮の収容所に、平壌の郊外に勝湖里(スンホリ)という1級の政治犯を入れる収容所がありまして、その(収容者の)名簿をアムネスティが入手したんですよ。これを全世界に発信したんですね。そしたらもう北朝鮮が慌てふためいてしまって、慌ててその収容所を閉鎖して、その建物を一般の刑務所であるかのようにしつらえて、アムネスティの視察を入れるという、そういう実績のある団体でもあるんです。
 その団体が、私の目で見ると2000年以降どうも北朝鮮問題で消極的なように見えるんだが、どうなんだ? という話しをしたんです。で、その隣に日本のアムネスティの副理事長を長年なさっていた日本の女性もいらっしゃっていて、その方は、私たちの国際会議を日本のアムネスティの会員からのFaxで知ったんですね。そのFaxの文面を見せていただいたんです。
(文面は)こういう北朝鮮の収容所問題に焦点を当てた国際会議があるから、ぜひ行って欲しい。それに加えて日本のアムネスティは、何で北朝鮮の人権問題でもっとやらないのかと。日本のアムネスティの会員として非常にジレンマがある、じれったい。どうなってるんですか? という文面だったんです。
 私が、その方の問題意識と一致したもんですから、ロンドン本部から来た人に話しを聞いたんですよ。そうしたら言ったことはこうです。国際的には、北朝鮮の問題に関して人権上のトピックになってるのは、日本人の拉致問題だと。今国際社会では、日本人拉致問題でのイメージが大きくなっていて、しかも日本が過去の慰安婦ですとかその他諸々の強制問題に対して、そうしたことはなかったという否定するような動きを取り、そして北朝鮮内の人道支援に消極的である。
 そういうあり方に対して、アムネスティの各国ヨーロッパを含めた各支部において疑問を持つ一定の認識があって、それを収斂した結果、アムネスティとしては北朝鮮の人権問題間に関しては慎重にアプローチすべきであるという判断が立ち、それを日本のアムネスティも支持したんだ、と。
 私は、これは大変な話しだと思いまして、雑な言い方になりますが、無知もありますし、無理解もありますし、一体その程度の判断でそういう態度をとるのはどうなんだ? という一点でそれはそれとしてあります。
 非常にびっくりして、「あなた今言ったこと公に喋ってていいか?」と聞きました。(話しをした)その時は、国際会議の懇親の場でしたから、今各国からも、アメリカからも人が来ているよ、と。この場でアムネスティが、そのような認識で北朝鮮の人権問題に消極的であった、というあなたの言葉をそのまま伝えていいか?」と言いましたら「いい」と言いました。で、伝えました。今の私の伝え方でミスリーディングなところはないか? 誤解を招くところはないか? と確認して「OKである。その通りである」ということでした。
 そのインド人ナラヤンという人が私に言いましたのは「どうかこうした(北朝鮮の)収容所の問題、脱北者の問題で、日本がもっと国際社会でプレゼンス(存在感)を持って欲しい」と。「そして私がこういう国際会議に参加して、各国アムネスティから上がってきた意見に誤解がある、認識の過ちがあることは認識したから、それを持ち帰って来年2月からロンドンに戻った時に、北朝鮮の問題を積極的にやろうと思う」と。
「それにつけても日本からはもっと国際社会に日本国民が本当に北朝鮮の人権問題に憂慮し、その改善のために努力しようとしているあり方を、意図的にプレゼンスして欲しい」ということを重ねて言って、彼は帰っていったわけです。》

この発言は、私を含む参加者に大きな危機感を与え、日本発の運動の進め方を考えさせられた。
大発言会は以下のサイトで映像が流されているので参照されたい。http://www.netlive.ne.jp/archive/event/081214.html